2026年3月17日、国土交通省は2026年の地価公示価格を発表しました。全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも5年連続で上昇しており、全用途平均・商業地では上昇幅も拡大しています。東京圏や大阪圏、名古屋圏の三大都市圏でも上昇傾向が続いており、都市部を中心に土地需要の高さがうかがえます。特に大阪府では、住宅地は5年連続、商業地は4年連続の上昇となりました。
一方で、不動産投資を検討している方の中には「大阪市内で今後も需要が見込めるエリアはどこなのか」「どのように地価公示価格や上昇率を参考にしたらよいのか」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では2026年の地価公示価格を基に、大阪市の地価動向を区別・住宅地・商業地・交通地点別に解説します。さらに地価公示価格が上昇しやすい土地の特徴や、大阪市内で進む再開発・交通インフラ整備についても紹介します。大阪で不動産投資を検討している方は、エリア選定の参考にしてください。
※本記事は2026年6月時点の情報です
※本記事の数値は、住宅・商業地のみを対象としております
※参考:大阪市.「マップナビおおさかオープンデータ一覧」. (2026-03-31).
この記事で分かること
大阪市全体の変動率は2025年の8.4%から2026年には9.1%へ上昇しており、関西圏の地価上昇をけん引しているエリアの一つです。下落地点がなかったことも特筆すべき点で、住宅地の上昇率は6.4%、商業地は12.4%と高い伸びを示しました。大阪府全体では住宅地が2.8%、商業地が8.5%であることを踏まえると、大阪市の上昇率は府内でも目立つ水準です。
次項からは、大阪市の地価動向を区別・住宅地・商業地・交通地点別にご紹介します。大阪市内で不動産投資を検討している方は、各ランキングを参考に、エリアごとの現在の評価や将来性などをチェックしてみましょう。
※参考:大阪府.「大阪府地価だより」.(2026-3-18).
不動産投資物件を選定する上で、立地条件は重要な要素の一つです。地価公示価格はエリアの資産価値や需要の高さを把握する手掛かりになり、対前年の上昇率を見ることで、どのエリアの注目度が高まっているのか、将来性を期待できるのかを確認できます。
ここでは、大阪市内で地価公示価格や地価上昇率が高い区をご紹介します。
<総合 地価公示価格ランキング>
<住宅地における地価公示価格ランキング>
<商業地における地価公示価格ランキング>
地価公示価格が高い区を見ると、総合・住宅地・商業地のいずれにおいても、大阪市中心部やその周辺エリアが上位に入っています。特に中央区・西区は、住宅地・商業地のどちらのランキングでも上位に位置しており、心斎橋・なんば・本町・堀江など、商業やオフィス、居住ニーズが集まるエリアの地価水準が高いことが分かります。
また住宅地でランクインしている天王寺区は、都心へのアクセスの良さや落ち着いた街の雰囲気などが人気のエリアで、もともと一定の地価水準がある区です。今回さらに地価が上昇したことから、今後も住宅地としての需要がより高まることが伺えます。
次に地価の変動率別でも上位の傾向を見てみましょう。
<総合 上昇率ランキング>
<住宅地における上昇率ランキング>
<商業地における上昇率ランキング>
大阪市の地価上昇率が高い区を見ると、西区・浪速区が複数のランキングで上位に入っています。浪速区は、なんば・日本橋・新今宮などを有する大阪市中心部に近い区であり、交通利便性の高さが特長です。大阪市内の主要エリアへアクセスしやすく、日常生活の利便性も高いことから、住宅地・商業地の両面で需要が高まっていると考えられます。また中央区や西区など既に地価水準が高いエリアと比べると、相対的に価格を抑えながら都心近接の利便性を得やすい点も、上昇率の高さにつながっているのでしょう。
また中央区と西区は、地価公示価格の水準が高いだけではなく、変動率でも高い数値を示しており、既に需要のある中心部でさらに地価が上昇していることが分かります。
次に、大阪市内の住宅地における地価公示価格が高い地点と、地価上昇率が高い地点をランキング形式でご紹介します。
<地価公示価格ランキング>
<地価の上昇率ランキング>
Z大阪市の住宅地における地価公示価格ランキングでは、大阪駅や梅田駅にアクセスしやすい福島区福島や文教地区で知られる天王寺区上汐、天神橋筋商店街にほど近い北区紅梅町など、都心部に近く利便性の高い地点が上位に入っています。ただしトップ10のうち、昨年ランクインしていなかったのは10位の北区本庄東のみであることから、地価の高いエリアの人気が続いており、価格上昇も堅調であることが分かります。
一方地価の上昇率ランキングを見ると、西区北堀江、北区本庄東、北区中津など6地点が新たにランクインしました。いずれも都心部へのアクセスに優れた住宅地でありながら、中心部の一等地と比較すると、相対的に検討しやすいエリアです。
このことから、職住近接を重視する賃貸需要が、中心部の高価格帯エリアから周辺へと徐々に広がりつつあることが伺えます。今後は、既に地価水準が高い中心部に徒歩・自転車で移動できるエリアにも注目していきましょう。
続いて、大阪市内の商業地における地価公示価格が高い地点と、地価上昇率が高い地点をランキング形式でご紹介します。
<地価公示価格ランキング>
<地価の上昇率ランキング>
大阪市の商業地における地価公示価格ランキングでは、中央区宗右衛門町や心斎橋筋、西心斎橋、難波など、大阪を代表する商業・業務エリアが上位に入っています。前年は北区大深町が1位でしたが、2026年は6年ぶりに中央区宗右衛門町が商業地の地価公示価格ランキングで1位となりました。順位の変動はあるものの、トップ10のラインナップは昨年と同じで、引き続き大阪市の中心エリアの需要が高いことが分かります。
一方地価の上昇率ランキングを見ると、昨年も大きく地価が上昇した中央区道頓堀や福島区福島などが上位に入っています。地価公示価格ランキングでは中央区・北区の一等地が目立つのに対し、上昇率ランキングでは西区・浪速区・福島区など、中心部に近い周辺エリアが多く見られる点が特徴です。
地価上昇の背景には、インバウンドを含む観光需要の高さや、都心部周辺での再開発・マンション開発などが挙げられます。再開発などが進み街の回遊性が高まれば、周辺エリアにも観光客が立ち寄りやすくなるため、大阪市内の商業地では広い範囲で地価の上昇が続くと予想されます。
投資用物件を選定する際は、駅ごとの地価公示価格や上昇率をチェックするのも方法の一つです。
ここでは、市内の交通地点における地価公示価格と地価上昇率のランキングをご紹介します。
<地価公示価格ランキング>
<地価の上昇率ランキング>
交通地点別の地価公示価格ランキングを見ると、関西有数のターミナル駅である大阪駅と梅田駅が上位となりました。3位・4位・7位の駅も大型商業施設や百貨店などの最寄り駅であり、商業・観光需要の高さが地価にも表れていると考えられます。5位以降は淀屋橋・本町・北浜などオフィス街に位置する駅が多く、商業地とは異なる形で安定した需要が見込まれています。
一方地価の上昇率ランキングの上位である中津駅や桜川駅周辺は、梅田やなんばが徒歩圏内でありながら、住宅地としての側面も持つエリアです。都心部へのアクセスに優れつつ、昔ながらの街並みや生活利便性も備えていることから、居住ニーズの高まりが地価上昇につながっていると考えられます。また3位の北浜駅や5位の阿波座駅、9位の本町駅・大阪天満宮駅はオフィス街に近く、都心部で働く人の居住ニーズを満たしやすい立地といえます。
地価公示価格ランキングでは商業・観光・業務需要の強い駅が目立つ一方、上昇率ランキングでは、都心部へのアクセスと住みやすさを兼ね備えた駅が多くランクインしました。このように駅を基準に地価水準や上昇率を見ることで、エリアの傾向や将来性を把握しやすくなるでしょう。

地価公示価格とは、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格のことです。国土交通省の土地鑑定委員会が毎年公表しており、一般の土地取引価格の指標や、公共事業用地の取得価格算定などに活用されています。標準地は、地域内で土地の利用状況や環境、地積、形状などが標準的と認められる土地から選ばれるのが一般的です。
地価公示価格は、土地鑑定委員会が2人以上の不動産鑑定士に鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行った上で判定されます。不動産鑑定士とは、土地や建物などの経済価値を分析し、適正な価格を判定する専門家です。複数の不動産鑑定士が評価に関わることで、評価の公平性や客観性が保たれています。
なお、地価公示価格で示されるのは、建物を含めた価格ではなく土地のみの価格です。標準地に建物がある場合でも、建物や権利がない更地の状態を前提として評価されます。そのため、実際に売買される不動産価格とは一致しない場合がある点に注意が必要です。
標準地の鑑定評価では、主に以下の手法が用いられます。
地価公示価格は、エリアごとの地価水準や変動傾向を把握する際の指標となります。ただし、実際の物件価格は、建物の築年数や管理状態、周辺環境、個別の取引条件などによって変わります。不動産投資を検討する際は、地価公示価格だけで判断するのではなく、賃貸需要や利回り、周辺の再開発計画なども併せて確認することが重要です。
地価公示価格が上昇しやすい土地には、いくつかの共通点があります。
このように地価公示価格の上昇には、さまざまな要因が関係しています。不動産投資でエリアを選ぶ際は、今後需要を押し上げる要因があるかどうかを確認することも大切です。
ここからは先述したランキングに多く登場した区を中心に、地価公示価格上昇の背景を見ていきましょう。
北区は、大阪市内有数の商業・オフィスエリアです。特に梅田周辺で行われている再開発が地価上昇の要因となっており、高品質のオフィス供給やにぎわいの場の創出が進められています。もともと商業地として高い地価を誇るエリアですが、こうした再開発により、今後も地価の上昇が続くと見られています。
また住宅地の変動率ランキングで1位になった紅梅町や本庄東、中津など住宅地としての需要が高まっていることも見逃せません。中高層マンションやオフィスが混在する地域では、都市部で働く人々の職住近接ニーズを取り込みやすく、近年はマンション開発も活発に行われています。
このように商業・オフィス機能が集まるエリアと、賃貸需要が高まるエリアの両方で地価の上昇が見込まれる点が、北区の特長といえるでしょう。
中央区は心斎橋・なんば・道頓堀など、大阪市内でも商業地としての性格が強い区です。商業地の地価公示価格ランキングや交通地点別のランキングに多く登場しており、観光・商業・オフィス需要の高さが地価に反映されています。特に2026年は、デカ戎橋ビルが商業地の地価公示価格ランキングで6年ぶりに1位になりました。インバウンドを含む観光需要の向上を背景に、中央区の存在感が高まっていることが伺えます。
中央区は住宅用地の地点が限られているものの、上町や森ノ宮中央などの住宅地も一定の地価水準を維持しています。観光需要の増加に加えて居住ニーズの広がりが重なれば、中長期的に地価を下支えする要因となるでしょう。
西区も、複数の上昇率ランキングに多くの地点が登場している区です。北堀江や新町、阿波座、西大橋、四ツ橋など、都心部に近接しながら住宅地やオフィス街、商業地が混在している点が特長です。特に住宅地では、心斎橋やなんば方面へアクセスしやすいエリアで地価が上昇傾向にあり、人気の高まりが伺えます。建築費や販売価格が上昇する中でも、マンション需要が根強く、地価を支える要因になっていると考えられます。
詳しくは後述しますが、2031年予定のなにわ筋線開業に合わせて西区に新たな駅ができる見込みです。こうした要因も上昇率につながっているのでしょう。
2025年~26年にかけて、大阪の「ヒガシ」エリアでは複数地点で地価が上昇傾向にあります。特に城東区や東成区は10%台の高い上昇率を誇っています。
背景にあるのが、森之宮周辺で進むまちづくりです。2025年9月に大阪公立大学の森之宮キャンパスが開設され、Osaka Metroの(仮称)森之宮新駅も2028年春の開業が予定されています。またまちづくりに併せて、大阪城~森之宮エリアの歩行者通路も整備される予定です。このような大学・新駅・駅前空間の整備は、単発の施設開発ではなく、地域全体の利便性や認知度を高める「面」の開発として、地域活性化の促進剤になるでしょう。
中央区や北区の地価上昇に伴い、相対的に検討しやすい東側エリアへ住宅需要が広がっていることも、城東区・東成区の地価上昇要因と考えられます。
浪速区は、なんば・日本橋・新今宮・桜川・大国町などを含む、商業・観光と住宅の両方の性格を持つ区です。通天閣やジャンジャン横丁で知られる新世界、日本橋の電気街・サブカルチャーエリア、なんばパークス周辺など、観光・商業施設が集まる一方で、下町の雰囲気を残す住宅地も広がっています。
浪速区は特に上昇率のランキングに数多く登場しており、成長性の高い区の一つです。最近では事業所の跡地がマンション用地として活用されているケースもあり、賃貸需要がさらに高まることが期待されています。またなんばパークスの南側に位置する旧クボタ本社跡地には、1万2,000人規模のアリーナが2031年に開業する予定です。このように商業・観光需要と居住ニーズの両方が増加していけば、今後ますます地価が伸びていくかもしれません。
先述したように、再開発や交通インフラの整備は、地価公示価格の上昇につながりやすい要素の一つです。新しい商業施設やオフィス、住宅、交通網が整備されることで、エリアの利便性や認知度が高まり、住宅需要や事業用地の需要が増える可能性があります。
ここでは、大阪市内で行われている代表的な再開発や整備計画をご紹介します。

うめきたプロジェクトは、JR大阪駅の北側に広がる「うめきた地区」を対象とした大規模な再開発です。第1期では、2013年に商業施設・ホテル・オフィスが一体となった「グランフロント大阪」が開業し、大阪・梅田エリアの拠点性を高めました。
第2期では「みどり」と「イノベーション」の融合をテーマに開発が進められており、未来都市・グラングリーン大阪の整備が進められています。2024年9月には、グラングリーン大阪北館やうめきた公園の一部などが先行まちびらきし、2027年度には全体まちびらきが行われる予定です。
うめきた2期では、オフィスや商業施設、ホテル、都市公園、住宅などが一体的に整備されるため、梅田周辺の回遊性やにぎわいの向上が期待されます。大阪市内でも地価水準の高い北区において、今後も商業・オフィス需要や居住ニーズを支える要因となるでしょう。
大阪IRは、夢洲で計画されている統合型リゾートです。国際会議場や展示施設、ホテル、劇場、商業施設、カジノなどを備える複合施設として整備される予定で、観光だけではなく、ビジネスや国際交流の拠点としての役割も期待されています。
大阪市IR推進局の公式情報では、大阪IRの年間来訪者は約2,000万人、年間売り上げは約5,200億円と見込まれています。また運営による近畿圏への経済波及効果は年間約1兆1,400億円、雇用創出効果は年間約9.3万人となる見込みです。
大阪・関西万博の開幕に合わせてOsaka Metro中央線が夢洲まで延伸したため、将来的なIR来訪者の受け入れに向けた交通基盤も整っています。大阪IRの開業により、観光・ビジネス需要が高まれば、夢洲周辺だけでなく、梅田・なんば・天王寺・ベイエリアなど大阪市内の広い範囲に影響を与える可能性があります。
※参考:大阪市IR推進局.「統合型リゾートOSAKA IR」.(参照:2026-05-20).
なにわ筋線は、大阪駅のうめきたエリアとJR難波駅、南海新今宮駅方面を結ぶ新たな鉄道路線です。大阪都心部を南北に縦貫する路線として、2031年春の開業に向けて整備事業が進められています。
なにわ筋線の整備により、新大阪・大阪・梅田・中之島・難波・新今宮・天王寺・関西国際空港をつなぐ新たな交通軸が形成される見込みです。関西国際空港や新大阪駅からミナミ方面へのアクセスが改善されることで、国内外の観光客やビジネス利用者の移動利便性も高まります。また開業に併せて、以下の3つの駅が新設される予定です。
既に地価公示価格・上昇率ランキングで登場しているエリアに新駅ができ、利便性がさらに高まれば、今後の地価動向にも影響を与えるでしょう。
リニア中央新幹線は、東京・名古屋・大阪の三大都市圏を約1時間で結ぶことを目指す国家的プロジェクトです。国土交通省によると、名古屋・大阪間の開業は当初2045年に予定されていましたが、財政投融資の活用により、最大8年間の前倒しが決定されています。
リニア中央新幹線が大阪まで開通すれば、東京・名古屋・大阪間の移動時間が短縮され、企業活動や観光、人の移動がさらに活発になる可能性があります。大阪の拠点性が高まることで、オフィス需要や宿泊需要、商業需要の増加につながり、長期的には大阪市内の地価にも好影響を与えることが期待できるでしょう。
また北陸新幹線の延伸も検討が行われており、これが実現すれば、北陸方面からのアクセス向上も見込まれます。結果として、大阪の広域交通拠点としての価値が高まり、中長期的な資産価値の向上・維持が見込まれます。
大阪市の地価公示価格は、住宅地・商業地ともに上昇傾向が続いています。特に北区・中央区・西区・浪速区などの中心部やその周辺エリアでは、商業・観光需要、職住近接ニーズ、マンション開発需要などを背景に、地価の上昇が目立っています。またうめきた2期や大阪IR、なにわ筋線などの再開発・交通インフラ整備も進められており、今後も大阪市の地価動向には注目が集まるでしょう。
大阪で不動産投資を検討する際は、現在の地価公示価格だけではなく、上昇率や再開発計画、交通利便性、賃貸需要などを総合的に確認することが重要です。すでに地価水準が高い中心部だけではなく、今後の需要拡大が見込まれる周辺エリアにも目を向けることで、より目的に合った投資先を見極めやすくなります。
とはいえ、地価や再開発動向を踏まえて投資エリアを判断するには、地域ごとの特性や将来性を正しく把握する必要があります。不動産投資を成功させるためには、物件価格や利回りだけで判断するのではなく、地域情報に詳しく、物件選定から運用まで相談できる不動産会社を選ぶことが大切です。
エスリード株式会社は、関西に密着して30年以上の実績を持つ不動産会社です。大阪の地域性を踏まえた物件提案に強みがあり、目的に合った投資用物件の選定から運用、管理委託、売却までをトータルでサポートしています。大阪で不動産投資を始めたい方や、今後の地価動向や再開発計画も踏まえながらエリア選定を行いたい方は、ぜひエスリードへご相談ください。
田端 俊之
エスリード株式会社
営業部営業戦略室 次長
1999年 日本エスリードに入社、営業部門、開発部門を経て2002年から企画・マーケティング部門に従事。 携わったマンションの販売企画は100物件を超え、CM制作や自社主催のセミナー講師も務める。
マーケティング室の統括責任者として長年市場分析やマーケティング戦略業務に従事してきた経験を活かし、デベロッパーの市場分析目線から《マンション経営》をわかりやすくお伝えします。
関西の国立大学で経済学・マーケティングを学び、1999年に日本エスリードに入社。
入社以来、企画及びマーケティングを担当し、マーケティング室の統括責任者として市場分析やマーケティング戦略業務を担う。
不動産投資ローンの団体信用生命保険(団信)とは? 種類や生命保険との違い、加入できない場合の対処法を解説
団体信用生命保険は、住宅ローンや不動産投資ローンを組む際、または借り換えを行う際にしか加入できない保険です。そのため、物件購入を検討した段階で初めて耳にする人も多く「不動産投資ローンを組むなら団体信用生命保険に入った方がよいのか」「どれを選べばよいのか分からない」といった悩みや疑問を持つことも少なくありません。 団体信用生命保険は、種類によって保障範囲や金利負担が変わるため、内容を十分に理解しないまま選ぶと、必要以上のコストがかかったり、万が一への備えが不十分になったりする可能性もあります。 本記事では、団体信用生命保険の基本的な仕組みから種類ごとの違い、保険料の考え方、加入できない場合の対応まで、分かりやすく解説します。役割を正しく理解し、ご自身に合った団体信用生命保険を選ぶための参考にしてください。 suggest2 団体信用生命保険には、一般団信・疾病保障付き団信・ワイド団信などの種類がある 団体信用生命保険の保険料は別で支払うのではなく、ローン返済の中で負担するのが一般的で、保障が手厚いほど金利が上乗せされやすい 団体信用生命保険に加入できなくても不動産投資ローンを利用できる可能性はあるものの、借りられる金融機関は限られ、他の保険や貯蓄で備える必要がある 団体信用生命保険(団信)とは? 団体信用生命保険(以下、団信)とは、ローン返済中に契約者が死亡した場合や高度障がい状態になった場合に、保険金によってローン残高が完済される保険です。契約者に万が一のことが起きて返済が難しくなった際には、ローン残高に相当する保険金が金融機関へ支払われ、債務の返済に充てられます。 高度障がい状態とは、以下のような状態に当てはまる場合を指します。 両眼の視力を永久に失った状態 言語やそしゃくの機能を永久に失った状態 終身にわたり常に介護を要する状態 両上肢または両下肢の機能を永久に失った状態 など 具体的な認定基準は保険商品ごとに異なるため、実際に加入する際は保障内容をよく確認しておくことが大切です。 団信に加入していれば、こうした万が一の際に、残された家族がローン返済を心配せずに済みます。住宅ローンであれば住まいを維持しやすくなり、不動産投資ローンであれば、返済が不要となった投資用物件を活用して家賃収入を得たり、売却してまとまった資金を確保したりできる可能性があります。なお、団信は一度加入すると途中で保障内容を変更できないのが一般的であり、生命保険料控除の対象にもなりません。 団信の加入要件 団信に加入できるのは、基本的にこれから住宅ローンや不動産投資ローンを借り入れる人、または借り換えを行う人です。すでに借り入れ中のローンに、後から任意で団信を付けることは原則としてできません。そのため団信に加入したい場合は、ローン契約のタイミングで申し込む必要があります。 また団信への加入では、所定の健康状態を満たしていることも要件の一つです。申し込み時には健康状態に関する告知が必要であり、その内容によっては加入できない場合もあります。持病や既往歴があっても加入できる商品が用意されていることもありますが、条件が異なるケースもあるため、事前に確認しておくことが大切です。 団体信用生命保険(団信)の種類 団信には、保障の範囲や加入条件によって複数の種類があります。またどの団信が適しているかは、健康状態や家族構成、万が一の際にどこまで備えたいかによって異なります。団信の種類によって金利の設定が変わることもあるため、それぞれの特徴を理解した上で、ご自身に合うものを選びましょう。 ここでは、以下の代表的な3つの団信について解説します。 一般団信 疾病保障付き団信 ワイド団信 一般団信 一般団信は契約者が死亡した場合、または先述した所定の高度障がい状態に該当した場合に、ローン残債がゼロになる最も基本的な団信です。 先述した通り、団信の加入に当たっては健康状態の告知が必要です。そのため、現在病気の治療をしている人や既往歴がある人は、一般団信に加入できない可能性があります。 どの団信が良いのか分からないという方は、まずはこの一般団信を基準に考え、その上で必要に応じて保障を上乗せするか、金利の上昇分を許容できるかどうかを検討するとよいでしょう。 疾病保障付き団信 疾病保障付き団信は、死亡や高度障がい状態に加えて、病気や就業不能などにも備えられるよう保障内容を充実させた団信です。例えば三大疾病や所定の身体障がい状態、要介護状態、就業不能、全疾病などを保障対象とする商品があります。 近年、医学の進歩により、病気によっては治療や回復が期待できるようになっています。一方で、病気になると治療のために仕事を休まざるを得ないケースも少なくありません。国立がん研究センターがん対策研究所の調査によると、がんと診断された人のうち53.4%が治療のために休業したと回答していました(※)。 住宅ローンの主な返済原資は給与所得や事業所得であるため、契約者が病気によって働けなくなった場合、資金繰りに直接的な影響が出る可能性があります。そのため、リスク回避の方法として疾病保障付き団信を選択する方も一定数いるでしょう。一方、不動産投資ローンの主な返済原資は家賃収入です。病気で休業したからといって、すぐにキャッシュフローが破綻するわけではありません。しかし、空室リスクや修繕リスクに備える手元資金に十分な余裕がない場合は、収支が不安定になる恐れもあります。そのため自己資金とのバランスを考慮して、疾病保障付き団信を選ぶ方もいます。 ただし、どの状態になったらローン残債がゼロになるかは、商品や特約によって異なります。診断確定だけで保険金が支払われるものもあれば、一定期間働けない状態が続くことを条件としているものもあります。そのため疾病保障付き団信を選ぶ際は、保障の範囲だけではなく、実際に保険金が支払われる条件まで確認しておくことが大切です。 ※参考:国立がん研究センターがん対策研究所.「患者体験調査報告書 令和5年度調査(最終版)」.(参照:2026-05-19). ワイド団信 ワイド団信(引受条件緩和型団体信用生命保険)とは、持病や既往歴がある方でも加入できる可能性のある団信です。健康状態などを理由に、一般団信や疾病保障付き団信へ加入できない場合でも、加入条件を緩和したワイド団信であれば申し込めるケースがあります。 ただし加入条件が緩和されているとはいえ、誰でも無条件で加入できるわけではありません。申し込み時には所定の審査があり、その結果によっては加入できない場合もあります。また一般団信よりも金利が上乗せされるケースが多いため、加入の可否だけで判断するのではなく、保障内容や金利負担とのバランスも確認した上で検討しましょう。 団体信用生命保険(団信)の保険料はどのように支払う? 団信の保険料は、契約者が保険会社へ直接支払うのではなく、金融機関がまとめて負担する仕組みです。実際には保険料相当額が金利に含まれているため、契約者はローンの返済を通じて間接的に保険料を負担しています。 また団信は保障範囲が広いほど、保険金が支払われる確率が高くなるため、金利の上乗せ幅が大きくなる傾向にあります。一般団信に比べて、疾病保障付き団信やワイド団信などは年0.1〜0.3%程度の金利が上乗せされるケースが多く見られます。保障内容が手厚くなるものの、毎月の返済額や総返済額にも影響が出るため、加入時には保障範囲と金利のバランスを中長期的に確認しておくことが大切です。 一方で、団信に加入すると必ず金利負担が重くなるとは限りません。金融機関によっては、所定の団信に加入することで返済不能リスクを抑えやすいと考え、金利優遇を適用する場合もあります。 例えば、団信への加入によって年0.3%の金利上乗せがある一方で、別途年0.05%の金利優遇が適用される場合、実質的な上乗せ幅は年0.25%となります。このように、表面的な上乗せ金利だけで判断するのではなく、優遇後の実質金利まで含めて比較してください。 団体信用生命保険(団信)に加入できなくても不動産投資ローンは利用できる? 結論からいうと、団信に加入できなくても不動産投資ローンを利用できる可能性はあります。ただし、実際には多くの金融機関が団信への加入を融資条件としているため、団信なしで借り入れできる金融機関は限られるのが一般的です。 初めから団信に加入しない前提で不動産投資ローンを組もうとすると、融資の審査が厳しくなったり、共同担保や連帯保証人を求められたりします。場合によっては返済不能リスクを補うために金利が上乗せされ、想定よりも総返済額が高くなってしまうケースもあるでしょう。そのため不動産投資ローンを組む際は、ご自身の健康状態や必要な保障内容に応じて、加入できる団信の選択肢を確認しておくことが大切です。 また団信に加入せずに数千万円単位の不動産投資ローンを組む場合は、万が一の時の備えを別で用意しておく必要があります。例えば一定の貯蓄を確保しておく、収入保障保険など他の生命保険でカバーするといった方法が考えられます。団信に加入できないからといって直ちにローンを利用できないわけではありませんが、選択肢は狭まりやすいです。そのため、借り入れ条件だけではなく、残された家族がどのように返済を行うかまで含めて検討しておきましょう。 団信に加入したら生命保険は不要? 団信は、死亡・高度障がい時や疾病時にローンを完済できるため、生命保険の死亡保障と役割が似ているといわれることがあります。そのため「団信に加入したら生命保険は不要なのでは」と考える人もいるでしょう。結論からいうと、団信に加入したからといって、全ての生命保険が不要になるわけではありません。 団信の保障額は、あくまでローン残債の範囲に限られます。加入から年数が経つほどローン残高は減っていくため、団信によってカバーされる金額も次第に小さくなっていきます。また団信はローン返済を完済する仕組みであり、遺族に現金が支払われるわけではありません。遺族が当面暮らすための生活費や教育費、葬儀費用など、ローン返済以外に必要となるお金まではカバーできない点に注意が必要です。 ご自身やご家族に必要な保障を整理した上で、重複している部分だけを調整することが大切です。 なお、団信と生命保険のバランスについて詳しく知りたい方は、以下の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。 不動産投資を始めれば生命保険はいらない? 団体信用生命保険(団信)加入時の保険見直しの考え方について解説 団信の役割と保障内容を理解した上で、不動産投資ローンを検討しましょう 団信は、ローン返済中に契約者が死亡した場合や所定の高度障がい状態になった場合に、保険金によってローン残高を完済する仕組みです。商品によっては疾病時に備えられるものや、既往歴がある場合でも加入できるものもあり、健康状態や備えたいリスクに応じて選べます。ただし保障範囲が広がるほど金利が上乗せされるケースもあるため、保障内容と負担のバランスを見ながら検討しましょう。 また団信は、万が一の時のローン返済に備えられる一方で、現金が直接支払われる保険ではありません。保障額もローン残高の範囲に限られるため、返済が進むほど小さくなります。そのため団信に加入したからといって、生命保険と役割が重なる部分は見直せても、生命保険を全てなくしてよいわけではありません。残されたご家族の生活費や教育費など、当面必要な資金まで含めて保障を考える必要があります。 団信やローンを選ぶ際に、ご自身に適したものを比較したい場合は、不動産会社選びにもこだわりましょう。東証プライム市場上場の不動産デベロッパーであるエスリードは、大手金融機関と連携しており、多くの選択肢の中からご状況に合った金融機関をご紹介しています。融資申請時のサポートも手厚いため、不動産投資経験が少ない方にも気軽にご相談いただけます。 「自分に合う団信の種類が分からない」「金利をなるべく抑えて不動産投資を始めたい」といった方は、エスリードへお問い合わせください。
不動産投資を始めれば生命保険はいらない? 団体信用生命保険(団信)加入時の保険見直しの考え方について解説
不動産投資について調べる中で「団体信用生命保険(団信)が生命保険の代わりになる」と聞いたことがある方もいるでしょう。団信に加入していれば、契約者に万が一のことがあった際にローン残債が保険金によって完済されるため、遺族に借入金のない物件を残せます。 一方で「本当に生命保険の代わりになるのか」「死亡保険を減らしても問題ないのか」と疑問に思う方も少なくありません。団信はローン残債を保障する仕組みであり、遺族が現金を直接受け取れる死亡保険とは役割が異なるため、両者の違いを理解した上で見直すことが大切です。 本記事では、不動産投資が主に死亡保険の代わりになるといわれる理由や、団信加入をきっかけに生命保険を見直すメリットを解説します。また不動産投資経験者200名を対象に実施したアンケートを基に、実際にどのくらいの方が生命保険を見直したのかもご紹介します。 団信と生命保険をどのように併用すべきか迷っている方や、不動産投資を生命保険代わりに活用できるのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 suggest2 団体信用生命保険(団信)は、契約者に万が一のことがあった際にローン残債が完済される保険のため、主に死亡保険の代わりになるといわれている 不動産投資前に生命保険へ加入していた方のうち約5割が、不動産投資をきっかけに生命保険を見直している 団信と生命保険を併用する際は、家族構成や必要な一時金の額、ライフイベント、疾病時の備えなどを踏まえて、保障のバランスを考えることが大切 不動産投資が主に死亡保険の代わりになるといわれる理由 不動産投資が主に死亡保険の代わりになるといわれる理由は、ローンを利用して投資用物件を購入する際に、団体信用生命保険(団信)へ加入するケースが多いためです。団信とは、ローン契約者が死亡または高度障がい状態になった場合、保険金によってローン残債が完済される仕組みの保険です。 例えば、ローン残債が3,000万円ある時点で契約者が亡くなった場合、団信に加入していれば、保険会社が金融機関へ残債を支払います。そのため遺族は、ローンの支払いを引き継がずに、借入金のない投資用物件を相続できる可能性があります。 残された物件を賃貸として運用すれば、家賃収入を遺族の生活費に充てることが可能です。一般的な死亡保険は、保険金を一時金として受け取る形が多い一方、不動産投資では物件を保有し続けることで、継続的な収入源を残せる点が特長です。 また疾病保障付きの団信に加入している場合、がんや生活習慣病など所定の疾病に該当した際に、ローン残債の一部または全額が保障されることがあります。就業不能保険や傷病手当金は受給期間が限られるケースがあり、がん保険などの一時金も治療費に充てると生活費まで十分に残らない可能性があります。その点、団信でローン返済負担が軽減されれば、家賃収入を生活費や療養中の支えとして活用しやすくなるでしょう。 ただし団信の保障内容は、金融機関や保険商品によって異なります。死亡・高度障がいのみが対象となるものもあれば、がんや三大疾病、八大疾病などを対象とする特約付きの商品もあります。不動産投資を生命保険代わりとして考える場合は、団体信用生命保険の保障範囲や支払い条件を事前に確認することが大切です。 団体信用生命保険の仕組みについて詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。 不動産投資ローンの団体信用生命保険(団信)とは? 種類や生命保険との違い、加入できない場合の対処法を解説 残された物件は賃貸・売却・住居として利用可能 契約者に万が一のことがあった後、遺族の手元に残った投資用物件は、賃貸運用・売却・住居としての利用など、状況に応じて活用できます。 例えば賃貸物件としてそのまま運用すれば、毎月の家賃収入を得ることが可能です。団信によってローン残債が完済されていれば、ローン返済のない状態で物件を保有できるため、管理費や修繕積立金、固定資産税などの諸経費を差し引いた家賃収入を、生活費や教育費などに充てやすくなります。 またまとまった資金が必要な場合は、物件を売却して一時金を得ることも可能です。相続後のライフプランや資金需要に合わせて、保有し続けるか売却するかを選べる点は、不動産ならではの特長といえるでしょう。 物件の立地や間取り、入居状況によっては、遺族が自分で住む選択肢もあります。特に交通利便性が高く、生活環境の整った物件であれば、住居として活用することで住まいの確保にもつながります。 このように不動産投資は、万が一の際に家族へ実物資産を残せる点が特長です。ローン返済のない物件を相続できれば、生活費や教育費の支えになる可能性があります。 団体信用生命保険(団信)への加入をきっかけに生命保険を見直すメリット 不動産投資ローンを利用して物件を購入する際に団信へ加入すると、既に加入している生命保険の保障内容を見直すきっかけになります。団信と生命保険では役割は完全に同じではありませんが、契約者の死亡時や高度障がい時に備えるという点では、保障内容が一部重なるためです。 生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、2人以上世帯における死亡保険金額は平均1,936万円です(※)。30〜50代は死亡保険金額が高くなる傾向にあり、家族構成や教育費、住宅ローンなどの負担が大きい世代ほど、死亡保障を厚く備えていることが分かります。 table2 年代 死亡保険金額 29歳以下 1,747万円 30~39歳 2,488万円 40~49歳 2,394万円 50~59歳 2,304万円 60~69歳 1,701万円 70~79歳 1,136万円 団信への加入をきっかけに生命保険を見直す主なメリットは、以下の通りです。 table2 メリット 概要 死亡保障の重複を整理しやすい 団信と死亡保険の目的が一部重なるため、必要保障額を見直すきっかけになる 保険料負担を抑えられる可能性がある 死亡保障の重複を調整すれば、民間の死亡保障を必要以上に大きく持たずに済む場合がある。結果的に、毎月の保険料を抑えやすくなる 団信の保険料をローン返済と別で支払う必要がない 一般的に団信の保険料相当額はローン金利に含まれているため、家計からの持ち出しを抑えられる。ただし疾病保障付き団信などを選ぶ場合は、金利が上乗せされることがあるため注意が必要 将来の保険料負担を見通しやすい 定期型の死亡保険は更新時の年齢に応じて保険料が上がるケースがある一方、団信は原則として、加入後に保険料相当分が年齢に応じて上がる仕組みではない 団信によってローン残債がなくなれば、遺族はローン返済をすることなく物件を相続できる可能性があります。ただし団信はあくまでローン残債を保障する保険であり、遺族へ現金が直接支払われる死亡保険とは役割が異なります。生活費や教育費、医療費などに現金で備えたい場合は、生命保険を一定程度残しておく必要があるでしょう。 不動産投資を生命保険代わりとして活用する場合は、家族構成や必要保障額、既存の保険内容を踏まえて総合的に見直してください。 ※参考:生命保険文化センター.「2024(令和6)年度 生命保険に関する 全国実態調査」.(参照:2026-05-25). 団体信用生命保険(団信)を生命保険の代わりにしている人はどのくらいいる? 不動産投資経験者の中で、団信の加入をきっかけに生命保険を見直した方は、実際どの程度いるのでしょうか。ここからは、不動産投資経験者を対象に実施したアンケート結果を基に、団信と生命保険の見直しに関する実態について見ていきましょう。 【調査概要】 調査名:不動産投資についてのアンケート 調査方法:インターネット調査 調査対象:不動産投資をしている、または過去に行ったことのある方200名 調査実施期間:2026年05月11日~2026年05月18日 生命保険加入者の約5割が見直しを行っている 不動産投資をしている、または過去に行ったことのある方200名を対象にアンケートを実施したところ、不動産投資を行う前に生命保険に加入していた方は151名でした。そのうち、不動産投資をきっかけに生命保険の見直しを行った方は75名です。約2人に1人が、不動産投資をきっかけに保障内容を見直していることが分かります。 また見直しをした保険の種類は以下の通りです。 見直しをした保険の種類として最も多かったのは「死亡保障」で33.3%、次いで「就労不能保障」が26.7%、「がん保障」が17.3%でした。一般的な団信は、契約者の死亡時や所定の高度障がい状態に備える仕組みであるため、死亡保障を中心に見直す方が多い傾向にありました。 また不動産投資のように定期的な家賃収入が得られるものの場合、月々の手残りに加え空室・修繕リスクに耐え得る手元資金があれば、短期間働けなくなった場合にも乗り越えられる可能性があります。こうした考えから、就労不能保障の見直しをする方もいるのでしょう。 生命保険を見直して削減できた保険料はいくら? 生命保険を見直した方に、見直しによって削減できた年間の保険料を尋ねたところ、最も多かったのは「10,001〜30,000円以内」で30.7%でした。次いで「5,001〜10,000円以内」が22.7%、「1,001〜5,000円以内」が21.3%となっています。10,001〜30,000円以内の区分の場合、月々に換算すると833~2,500円程度の負担軽減につながります。 一方で、年間5万円を超える保険料削減につながった方も8%程度いました。加入している保険の種類や保障額、家族構成によっては、団信への加入をきっかけに大きく保険料を見直せる可能性もあります。 ただし、保険料を下げることだけを目的に保障を削り過ぎると、万が一の際に生活費や教育費が不足する恐れがあります。実際に、見直しによって保険料が増えた方も2.7%いました。 そのため不動産投資を始める際は、生命保険を見直す・見直さないにかかわらず、一度現在の保障内容と保険料を試算してみるのがおすすめです。団信でカバーできる部分と、生命保険で備えるべき部分を整理することで、無理のない保険料負担と必要な保障のバランスを取りやすくなるでしょう。 生命保険の見直しを行わなかった人の声 一方で、不動産投資を始める際に生命保険の見直しを行わなかった方もいます。その理由を見ていきましょう。 見直しをしなかった理由として最も多かったのは「不動産投資と生命保険は別物だと思っているから」と答えた方で、39.5%でした。次いで「保険料負担がそこまで大きくなく、見直す必要がなかったから」という方が、27.6%となっています。 このように見直しを検討しても、役割の違いや削減額などを理由に調整しない選択をする人も一定数いることが分かります。 また「団信の加入が保険の見直しをするタイミングだと知らなかった」と回答した方が、18.4%いました。この方々に、今後保険の見直しを検討したいか聞いてみたところ、17.1%の方が「検討したい」、42.1%の方が「減額できる保険料の額によっては検討したい」と回答しました。条件次第では保険の見直しに前向きであることが分かります。 一方「生命保険の保障は別でしっかり備えておきたいので、見直しを検討しない」と回答した方も39.5%おり、団信と生命保険を分けて考えている方もいることが伺えます。 団体信用生命保険(団信)に加入したら生命保険は一切不要になる? 先述したアンケート結果からも分かる通り、団信と生命保険のバランスを検討し、具体的に調整を行った方は約半数いました。ただし、たとえ役割が重複していたとしても、生命保険が一切不要になるわけではありません。 団信は、万が一の際に遺族へローン返済の負担を残さずに済む一方で、保障額はあくまでも残債額に限定されます。返済が進むほどローン残債は減っていくため、団信で保障される金額も年数の経過とともに少なくなってしまうのです。またローンを完済すれば、団信の保障も終了します。 さらに団信は、ローン残債を返済するための保険であり、遺族が現金を直接受け取れるわけではありません。そのため、団信と生命保険で一部重複する保障は見直せるものの、生命保険が一切不要になるわけではないのです。 団信と生命保険のバランスを検討する際は、家計の資産や負債を棚卸しし、万が一の際に「団信で何をカバーするのか」「生命保険で何を備えるのか」を整理することが大切です。ここでは、生命保険をある程度残しておくのが望ましい人の特徴をご紹介します。 万が一の際にある程度の一時金が必要な人 契約者に万が一のことがあった場合、遺族にはまとまった支出が発生します。例えば、葬儀費用や当面の生活費、子どもの教育費、相続税などです。預貯金だけで当面の支出を賄えない場合、生活費や納税資金を確保するために、相続した物件を売却せざるを得ないケースも考えられます。 しかし、物件をすぐに売却できるとは限らず、相場やタイミングによっては希望する価格で売れない可能性もあるでしょう。こうした遺族の意向に沿わない形で売却を迫られるリスクを避けるためにも、ある程度の一時金を確保できる死亡保障を残しておくのが望ましいです。 若いうちから終身保険に入っている人 若いうちから終身保険に加入している方は、団信に加入したからといってすぐに解約するのではなく、保障内容や保険料を確認した上で判断しましょう。 生命保険は同じ保障額を継続して持つ場合、加入時の年齢が高くなるほど保険料が上がりやすくなります。例えば25歳で不動産投資ローンを組み、35年後にローンを完済した場合、60歳時点で団信の保障は終了します。その時点で改めて死亡保障が必要になった場合、若い頃よりも高い保険料で新たに生命保険へ加入しなければなりません。また年齢を重ねると、健康状態によっては保険に加入しにくくなったり、加入できても保険料が割高になったりするケースもあります。 その点、終身保険は保障が一生涯続く保険です。加入時の年齢や条件を基に保険料が決まるため、定期型の死亡保険のように更新時の年齢に応じて保険料が上がる仕組みではありません。また掛け捨て型ではなく、解約返戻金のある商品も多いため、一定の資産形成機能を持てる場合もあるでしょう。 団信と保障が一部重複する場合でも、保険料の負担が大きくないのであれば、ローン完済後の保障や資産形成の観点から、終身保険を継続する選択肢もあります。 疾病時への備えをしっかりしておきたい人 がんや三大疾病、要介護状態などへの備えを重視したい方は、疾病保障付き団信に加入している場合でも、生命保険を一定程度残しておくことを検討しましょう。 疾病保障付き団信では、所定のがんや生活習慣病などに該当した場合に、ローン残債の一部または全額の返済が不要になることがあります。ただし保障されるのは基本的に残債額のみであり、治療費や入院費、通院費、生活費が直接支払われるわけではありません。 不動産投資では家賃収入を得られる可能性がありますが、空室リスクや修繕費、管理費などの支出が発生することもあります。治療が長期化した場合や働けない期間が続いた場合、家賃収入だけでは生活費や医療費を十分に賄えないケースもあるでしょう。 まとまった治療費や療養中の生活費を確保したい方は、傷病手当金などの公的保障をはじめ、がん保険や医療保険、就業不能保険なども含めて備えを検討することが大切です。 団体信用生命保険(団信)を生命保険代わりにするなら2部屋以上の分散投資がおすすめ 団体信用生命保険(団信)を生命保険の代わりとして活用したい場合は、2部屋以上の不動産投資を行う方法も選択肢の一つです。 投資用物件を1部屋だけ所有している場合、団信で保障されるのはその物件のローン残債に限られます。一方で、2部屋、3部屋と物件数を増やし、それぞれのローンで団信に加入できれば、万が一の際に保障されるローン残債の総額も大きくなります。 また購入時期を分けて複数の物件を保有すれば、団信による保障期間を長くしやすくなる点もメリットです。例えば1件目を30代で購入し、2件目を40代で購入した場合、それぞれのローン返済期間に応じて団信の保障が続きます。結果として、1部屋だけを保有する場合よりも、保障が続く期間を長く確保しやすくなるでしょう。 さらに複数物件を保有していれば、万が一の際に遺族が活用方法を選びやすくなります。例えば一部の物件は売却してまとまった資金を確保し、残りの物件は賃貸運用を続けて家賃収入を得るといった選択肢も考えられます。物件を複数に分けておくことで、資産の活用方法に柔軟性を持たせやすくなる点は、不動産投資ならではの特長です。 ただし、物件数を増やせばその分、借入額や修繕費、管理コストも大きくなります。団信による保障を広げることだけを目的に無理な借り入れを行うのは避け、収支計画や自己資金、将来のライフプランを踏まえて慎重に判断することが大切です。 また一般的にローン完済時の年齢には上限が設けられており、完済時年齢は79歳と定める金融機関が多いです。。ローンを完済すれば団信の保障も終了するため、老後まで含めた保障を団信だけで賄えるわけではありません。 生命保険を最小限に抑えたい場合でも、団信でカバーできる範囲と現金で備えるべき生活費・医療費・相続費用などを整理しておくことが重要です。複数物件への分散投資を検討する際は、保障面だけではなく賃貸需要や物件管理、返済計画まで含めて無理のない投資計画を立てましょう。 団体信用生命保険(団信)以外に不動産投資を始める際に加入すべき保険 不動産投資を始める際は、団信だけではなく、物件の損害や入居者・第三者とのトラブル、家賃収入の減少に備える保険も検討する必要があります。 団信はローン契約者の死亡や高度障がいなどに備える保険ですが、火災や地震による建物の損害、設備不良による事故、入居者の家賃滞納などはカバーできません。安定した賃貸経営を行うためには、リスクに応じた保険に加入しておくことが大切です。 不動産投資を始める際に検討したい主な保険は、以下の通りです。 table2 保険の種類 主な補償内容 加入を検討したいケース 火災保険 火災や落雷、風災、水災、盗難などによる建物・設備の損害を補償する 投資用物件を購入する場合は基本的に加入を検討したい 地震保険 地震・噴火・津波による火災や損壊などを補償する 地震リスクに備えたい場合、火災保険とセットで加入する 施設賠償責任保険 建物や設備の管理不備によって第三者にけがを負わせたり、物を壊したりした場合の損害賠償に備える 共用部や設備不良による事故リスクに備えたい場合 家賃保証保険 入居者の家賃滞納が発生した場合に、一定範囲で家賃収入を補償する 家賃滞納リスクを抑えたい場合、必要に応じて加入を検討する 補償される範囲や金額、期間は保険によって異なります。不動産投資に関する費用は経費として計上できるものの、手残りが減ってしまうことに変わりはないため、自己資金や修繕計画と併せて検討することが大切です。 不動産投資をするなら団体信用生命保険(団信)と生命保険を上手に併用しましょう 不動産投資ローンを利用して物件を購入する場合、団信に加入することで万が一の際にローン残債を保険金で完済できます。遺族に借入金のない物件を残せれば、引き続き賃貸に出して家賃収入を得たり、売却してまとまった資金を確保したりすることも可能です。 一方で団信はあくまでローン残債を保障する保険であり、遺族へ現金が直接支払われる死亡保険とは役割が異なります。葬儀費用や当面の生活費、教育費、相続税の支払い、治療費などに現金で備えたい場合は、生命保険を一定程度残しておくことも検討しましょう。 不動産投資を生命保険代わりとして活用したい場合は、物件選びだけではなく、ローンや団信の内容も慎重に確認する必要があります。金融機関によって、利用できるローン条件や団信の保障内容、疾病保障の有無は異なるため、ご自身の目的に合った組み合わせを選びましょう。 エスリード株式会社は、創業30年超で培ってきた実績とノウハウを基に、物件選定から運用、管理委託、売却までトータルでサポートしています。大手金融機関とも提携しているため、ご希望や条件に応じたローンや団信のご提案も可能です。生命保険とのバランスを含め、将来の資産形成や万が一への備えを考えながら不動産投資を始めたい方は、ぜひエスリードへご相談ください。
不動産投資のフルローン・オーバーローンはあり? メリット・デメリットと判断のポイントを解説
不動産投資では、物件の購入資金をどのように準備するかによって、月々のキャッシュフローや最終的な収益が変わります。中でも、自己資金が少ない場合の選択肢として挙がるのが、物件価格の全額を借り入れる「フルローン」や、諸費用まで含めて借り入れる「オーバーローン」です。自己資金が少なくても不動産投資を始めやすい一方で、借入額が大きくなる分、月々のキャッシュフローには注意が必要です。 特に、不動産投資初心者の方にとっては「頭金をためるまで待つべきか」「フルローンを使って早く始めた方がよいのか」「オーバーローンまで使ってよいのか」と迷う場面もあるでしょう。ご自身に適した投資スタイルを決めるには、ローンの仕組みだけではなくメリットとデメリットの両方を理解した上で判断する必要があります。 本記事では、フルローンとオーバーローンの基本的な仕組みや、それぞれのメリット・デメリット、どの借り入れ方法が向いているのかを見極めるポイントを分かりやすく解説します。不動産投資を始めるタイミングや資金計画に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。 suggest2 フルローンは、自己資金が十分でなくても不動産投資を始めやすい方法だが、返済総額やキャッシュフローへの影響も踏まえて判断する必要がある オーバーローンは、諸費用まで借入金でまかなえる一方で、返済負担や売却時のリスクがさらに大きくなりやすいため、基本的にはおすすめしない フルローンを利用するかどうかは、頭金として使える資金の有無や手元資金を残したいかどうか、複数の投資機会を視野に入れているかといった点を踏まえて判断することが大切である 登場人物① 山田さん 28歳 男性中堅の設備機器メーカー勤務(勤続5年) 年収500万円 不動産投資初心者 老後資金の確保を目的に不動産投資を始めようとしている太田さんの話を聞いて、老後資金の確保を目的に新築ワンルームマンション投資を始めることを決意 登場人物② 太田さん エスリード株式会社営業戦略室 マーケティングリーダー 投資用マンションを中心に、不動産投資の仕組みや魅力を「データ×現場のリアルな視点」で発信。データ分析に基づく集客設計から顧客フォロー、成約後のサポート体制づくりまでを一貫して推進し、投資家が安心して資産形成に臨める環境の整備に尽力。信頼できる情報を通じて、一人でも多くの方が自分らしい不動産投資を実現できるよう記事制作や監修を行っている。 フルローンとは? fukidashi yamada yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/real-estate-investment-basics/purpose-of-real-estate-investment/yamada/ 3 yamada inherit 2025-11-19 08:55:18 2025-11-19 08:55:18 image/png image png https://www.eslead.co.jp/media/wp-includes/images/media/default.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada-150x150.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada.png 山田さん すぐにでも不動産投資を始めたいと思っているのですが、投入できる自己資金があまり多くありません。頭金がたまるまで不動産投資は始めない方がよいのでしょうか? ota ota.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota.png https://www.eslead.co.jp/media/real-estate-investment-basics/purpose-of-real-estate-investment/ota/ 3 ota inherit 2025-11-19 06:59:13 2025-11-19 06:59:13 image/png image png https://www.eslead.co.jp/media/wp-includes/images/media/default.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota-150x150.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota.png 太田さん 必ずしもそうとは限りません。山田さんのように老後の資産形成を目的とした長期運用を前提とするなら、頭金がたまるのを待つよりも、無理のない条件で『フルローン』を活用し、早期に投資を始める方が有利になるケースもあります。 フルローンとは、物件価格の全額を金融機関から借り入れるローンのことです。例えば4,000万円の物件を購入する場合、物件価格の全額を借り入れて購入代金に充てます。そのため、頭金を用意しなくても不動産投資を始めやすい点が特長です。 ただし、フルローンだからといって完全に自己資金が不要になるわけではありません。物件価格は全額ローンでまかなえても、登録免許税や不動産取得税、仲介手数料といった諸経費は、基本的に自己資金で支払う必要があります。つまり頭金に充てないとしても、一定の資金は事前に準備しておかなければなりません。 オーバーローンとは? フルローンと同じく、頭金なしで不動産投資を始める方法として「オーバーローン」もあります。オーバーローンとは物件価格だけではなく、購入時にかかる諸費用まで含めて借り入れるローンのことです。一般的には、物件価格の110〜120%程度の融資を受けるケースが多いとされています。 例えば物件価格が4,000万円、諸経費が200万円の場合、フルローンは借り入れ額が4,000万円なのに対し、オーバーローンは両者を足した4,200万円程度を借り入れることになります。オーバーローンであれば自己資金に不安がある場合や、なるべく手元に資金を残したい場合でも投資を始めやすいでしょう。 ただし、オーバーローンは借入額が物件価格を上回るため、フルローン以上に返済負担が重くなりやすい点には注意が必要です。また将来の売却時に売却益でローンを完済できず、残債の返済が発生する可能性もあるため、仕組みだけではなくリスクも併せて理解しておくことが大切です。 フルローン・オーバーローンで不動産投資をするメリット 不動産投資を始めるに当たり、どのような融資を利用するのがベストなのか迷っている方に向けて、フルローン・オーバーローンを活用するメリットを3つ解説します。 まとまった資金がなくても不動産投資を始められる 手元に資金を残せる レバレッジ効果を最大限に活用できる ご自身のニーズに当てはまるかどうか、確認してみましょう。 まとまった資金がなくても不動産投資を始められる 不動産投資には、ワンルームマンション投資や一棟投資、戸建て投資など、さまざまな手法があります。いずれも物件を購入する以上、ある程度まとまった資金が必要です。しかし、フルローンやオーバーローンを利用すれば、自己資金がそこまで多くない状態でも不動産投資を始めやすくなります。 初期費用として必要な元手は、手付金が10万円以上、登記やローン契約などに伴う諸費用が100~200万円程度です。頭金については、物件価格に対して受けられる融資額が満たない場合は、差額分を用意する必要がありますが、そうではない場合は必ずしも充当する必要はありません。フルローンによって頭金の充当が不要であれば、110~210万円程度の負担のみで済むため、自己資金からの出費を大きく抑えながら投資を始められます。 【シリーズ:初めての不動産投資】第11回でも触れた通り、物件との出会いは一期一会です。せっかく条件の良い物件が見つかったのにもかかわらず「また次があるだろう」と資金準備を優先した結果、後から振り返って後悔しかねません。 まとまった資金がないために一歩を踏み出せないと感じている場合は、フルローンなどの仕組みを理解した上で活用することも選択肢の一つといえます。 手元に資金を残せる 頭金を支払わない分、手元に多くの現金を残しやすい点も、フルローンやオーバーローンのメリットです。不動産投資では、物件を購入した後にも急な設備の故障や退去に伴う原状回復、空室の発生など、想定外の支出や収入減が生じます。こうした場面でも自己資金に余裕があれば、ローン返済への影響を過度に心配せず、落ち着いて対応しやすくなります。 一方、手持ちの資金を頭金として多く投入すれば、借入額が減るため毎月の返済負担を抑えることが可能です。ただし、その分だけ手元の現金は減るため、万が一まとまった資金が急に必要になった場合には、キャッシングやカードローンなど、別の方法で資金を調達しなければならない状況も考えられるでしょう。 投資を始めた後の突発的な支出や資金繰りまで見据えると、現金を残した状態で運用を始められる点は大きなメリットといえます。 レバレッジ効果を最大限に活用できる フルローンやオーバーローンでは「レバレッジ効果」を高められる点もメリットの一つです。レバレッジとは、少ない自己資金と金融機関からの借り入れを組み合わせて高額な物件を取得し、投資効率を高める仕組みのことをいいます。頭金を充当しないフルローンやオーバーローンは、自己資金を抑えつつレバレッジ効果(投資効率)を最大化しやすいのが特長です。 この投資効率を把握する際に用いられるのが、自己資本利回り(CCR)です。自己資本利回りとは、投入した自己資金に対して、どれくらいの利益が得られているかを見る指標です。数値が高いほど、少ない資金で効率的に利益を上げていることになります。計算式は以下の通りです。 自己資本利回り(CCR) = 税引前キャッシュフロー ÷ 自己資金 税引前キャッシュフロー = 純営業収益(NOI) – 年間元利返済額 純営業収益(NOI) = 年間家賃収入 – 運営費用 例えば、運用費用を差し引いた実質年間家賃収入(純営業収益)が84万円の物件をフルローンで購入し、自己資金の投入額が200万円、年間のローン返済額が80万円だとします。この条件を、先述した計算式に当てはめてみましょう。 自己資本利回り(CCR) = 4万円 ÷ 200万円 =2% 税引前キャッシュフロー = 84万円 – 80万円 = 4万円 この場合の自己資本利回りは2%です。 自己資金を多く投入しなくても一定の利益を得られれば、自己資本利回りは高まりやすくなります。ただし、借入額が増えるほど返済負担やリスクも大きくなるため、レバレッジ効果だけで判断せず、収支全体を踏まえて検討することが大切です。 フルローン・オーバーローンで融資を受けるのはあり? fukidashi yamada yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/real-estate-investment-basics/purpose-of-real-estate-investment/yamada/ 3 yamada inherit 2025-11-19 08:55:18 2025-11-19 08:55:18 image/png image png 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資産のうち多くを現金で保有しているなら、頭金として投入し、一部を不動産という実物資産に置き換えるというのも選択肢の一つです。インフレが進むと現金の実質的な価値は目減りしてしまいますが、実物資産はインフレに連動しやすく、立地や需要によっては物価上昇に合わせて資産価値や家賃が上昇する可能性があります。ただし、インフレ対策であれば頭金に充当する以外に、別の投資を検討することも有効です。金・銀・プラチナなども物価の上昇に合わせて価値が上昇しやすい実物資産なので、これらの選択肢も含めて検討した上で、頭金として活用するのかを判断しましょう。 手元資金が十分にない、減るのが不安ならフルローンはあり 反対に手元資金が十分にない場合や手元資金が減ってしまうことを不安に感じる場合は、フルローンは検討する価値があります。確かに頭金を入れた方が返済負担を抑えやすいですが、無理のない条件でフルローンを利用し、早めに運用を開始した方が、頭金がたまるのを待つよりも長期的には利益を積み上げやすくなる場合があるからです。 また先述した通り、不動産投資では条件の良い物件にいつ出会えるかは分かりません。頭金をため終えたタイミングで、必ずしもご自身に合った物件が見つかるとは限らない以上「資金がたまるまで待つこと」が常に最善とはいえません。良い物件との出会いがあったなら、フルローンを活用して早めに投資を始めることを検討してみましょう。 複数の投資機会を狙うならフルローンはあり 不動産投資以外の投資も並行して進めたいと考えている場合は、あえてフルローンを選ぶという考え方もあります。不動産投資は、金融機関から融資を受けて始められる点が大きな特長です。自己資金を温存しながら物件を取得できれば、残した資金を他の投資に充てることも可能です。 例えば不動産投資をしながら、NISAやiDeCo、投資信託など他の金融商品も並行して活用していけば、資産運用の選択肢を広げやすくなります。資金を一つの投資先に集中させずに済むため、全体としてリスク分散を図りやすい点もメリットです。 もちろん自己資金を温存できるからといって、むやみに借入額を増やしてよいわけではありません。不動産投資そのものの返済計画が無理のない範囲に収まっていることが前提です。その上で、不動産投資を含めて戦略的に資金を活用したいと考えているなら、フルローンも検討の余地があるでしょう。 オーバーローンはなし オーバーローンについては、基本的におすすめしません。物件価格だけではなく諸費用まで含めて借り入れができるため、自己資金が少なくても始めやすいように見えますが、その分だけ借入額はさらに大きくなります。結果として、毎月の返済負担や将来の売却時のリスクも大きくなりやすいです。 特に、売却時に物件価格よりローン残債の方が多い状態になると、売却代金だけで完済できず、自己資金で差額を補わなければならない可能性があります。フルローンでも返済負担は軽いとはいえませんが、オーバーローンではそのリスクがさらに高まります。 そのため自己資金が少ない場合でも、利用を検討するならフルローンまでにとどめておくのが無難でしょう。まずは返済計画に無理がないことを優先し、その上で長期的に運用を続けられるかどうかを判断することが大切です。 フルローン・オーバーローンのデメリット フルローンやオーバーローンは借入額が大きくなるため、注意すべき点もしっかりと理解した上で選択する必要があります。ここでは、フルローンやオーバーローンのデメリットを2点解説します。 返済総額が増える フルローンやオーバーローンに限らず、ローンを利用する場合は借りた金額に対して利子が上乗せされます。不動産投資ローンの金利は、借入先の金融機関や融資条件によって異なりますが、借入額が大きいほど利息負担も重くなり、最終的な返済総額も膨らみやすくなります。また金利が上昇した場合はそれに連動して、将来的に支払う総額が想定以上に増える恐れもある点に注意が必要です。 さらにオーバーローンは物件価格だけではなく、登記費用や仲介手数料などの諸費用まで借り入れに含めます。本来であれば自己資金で支払うはずの費用にも利子がかかることになり、フルローン以上に返済総額が増えやすいため、基本的にはおすすめできません。 キャッシュフローに余裕がなくなる可能性がある フルローンやオーバーローンでは借入額が大きくなるため、月々のローン返済負担も重くなりやすいです。その結果、家賃収入に対する返済の割合が高くなり、毎月のキャッシュフローに余裕がなくなる可能性があります。 また空室や家賃下落、想定外の設備入れ替えなどが重なると、当初の目論見が破綻してしまう恐れもあります。 フルローンを選択する場合には、管理費や修繕費、固定資産税などの支出とローンの返済を踏まえて、生活費も含めた月々のキャッシュフローが厳しくなりすぎないか、しっかりとシミュレーションを行うことが大切です。また先述したようなリスクに備えて、以下のような対策をしておきましょう。 家賃保証サービスを利用する 将来にわたって需要の減少しない立地の物件を購入する 修繕費や設備の入れ替え費を、節税による還付金を活用して積み立てておく など 不動産投資でフルローンを利用したい場合のポイント fukidashi yamada yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/real-estate-investment-basics/purpose-of-real-estate-investment/yamada/ 3 yamada inherit 2025-11-19 08:55:18 2025-11-19 08:55:18 image/png image png https://www.eslead.co.jp/media/wp-includes/images/media/default.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada-150x150.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/yamada.png 山田さん 万が一に備えたり分散投資も踏まえて考えたりすると、手元に資金を残せるフルローンは有力な選択肢かもしれませんね。 ota ota.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota.png https://www.eslead.co.jp/media/real-estate-investment-basics/purpose-of-real-estate-investment/ota/ 3 ota inherit 2025-11-19 06:59:13 2025-11-19 06:59:13 image/png image png https://www.eslead.co.jp/media/wp-includes/images/media/default.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota-150x150.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota.png https://www.eslead.co.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/ota.png 太田さん そうですね。ただし、フルローンは誰でも必ず利用できるものではありません。融資を受けやすくするためには、事前に押さえておきたいポイントがあります。 フルローンは借り入れ額が大きくなりやすいため、金融機関の審査も厳しくなる傾向にあります。そのため審査に通りやすくするためのポイントを把握し、対策をしておくことが重要です。ここでは、不動産投資でフルローンを利用しやすくする代表的な3つのポイントを解説します。 借り入れがある場合は整理する 新築から築浅がおすすめ 金融機関の選択肢の多い不動産会社を選ぶ 借り入れがある場合は整理する フルローンの審査を受ける際は、不動産以外の借入状況も確認されます。例えば、自動車ローンやカードローン、デンタルローンなどが多く残っている場合は、返済負担が重いと判断され、審査に通りにくくなることがあります。 もちろん、年収や勤務先、勤続年数などの属性を高めることで評価を上げることは可能です。ただし、属性の改善には時間がかかるため、まずは不動産以外の借入を整理し、完済できるものは事前に返済しておく方が現実的です。返済能力に余裕があると見てもらいやすくなれば、フルローンを利用できる可能性も高まります。 また不動産投資と並行して居住用の住宅購入も検討している場合、不動産投資ローンと住宅ローンでは、一般的に不動産投資ローンを先に組むのが良いとされています。この点は【初めての不動産投資シリーズ】第7回でも詳しく触れているため、併せて確認してみてください。 新築から築浅がおすすめ フルローンの審査では、投資対象となる物件の価値も重要です。不動産投資は事業として見なされるため、金融機関は「きちんと収益を生み出せる物件か」「担保として十分な価値があるか」といった点も審査します。 その点、新築~築浅物件は築古物件と比べて入居者が付きやすく、収益性を見込みやすいと判断される傾向にあります。また担保としての評価も高くなりやすいため、フルローンの審査でも有利に働きやすいです。 特に賃貸需要が高い都心部にあり、耐用年数の長い鉄筋コンクリート造の物件などは、金融機関から高く評価されやすい条件がそろっています。フルローンを前提に不動産投資を考えるなら、こうした評価を受けやすい物件を選ぶことが重要です。 金融機関の選択肢の多い不動産会社を選ぶ フルローンを利用したい場合は、どの不動産会社を選ぶかも重要です。ご自身で金融機関を探して申し込み、必要書類をそろえながら比較するのは、想像以上に労力を費やします。その点、多くの金融機関と提携している不動産会社であれば、複数の選択肢を比較しながら、自分に合った融資先を見つけやすくなります。金融機関ごとに審査基準や金利条件は異なるため、選択肢が多いほど、フルローンを利用できる可能性も高まりやすいです。 また提携先の金融機関が少ない不動産会社の場合、審査に落ちた時点で物件購入そのものをあきらめなければならない場合もあります。提携先が多い不動産会社であれば、ある金融機関で難しくても、別の金融機関で再度審査を進められる可能性があります。加えて、厳しい審査や不利な融資条件を避けるためのアドバイスも受けやすいため、狙った物件を確実に仕入れたい方は不動産会社選びにもこだわりましょう。 フルローンの性質を理解して目的に合った借り入れ方法を選びましょう 物件価格の全額を金融機関から借り入れるフルローンを利用すれば、自己資金が十分ではない場合も不動産投資を始めやすくなります。頭金を支払わずに物件を購入できるため、手元に資金を残しやすく、急な修繕や空室など想定外の支出や収入減にも備えやすい点が特長です。また少ない自己資金で不動産を運用できることから、投資効率の向上も期待できます。 ただし、フルローンは借入額が大きくなるため、返済総額が増えやすい点には注意が必要です。特に空室や家賃下落、想定外の設備入れ替えなどが重なると、キャッシュフローが圧迫される恐れもあるため、無理のない返済計画を前提に検討しましょう。 フルローンを利用するかどうかは、手元資金が十分にあるか、それとも残しておきたいか、複数の投資機会を視野に入れているかといった点を踏まえて判断する必要があります。ご自身の資金状況や投資目的を整理した上で、どの方法が適しているのかを見極めましょう。なお、物件価格に加えて諸費用も借入金でまかなうオーバーローンは、返済負担や売却時のリスクがさらに大きくなりやすいため、基本的にはおすすめできません。 フルローンで不動産投資を始めたいと考えているなら、エスリード株式会社へご相談ください。エスリードでは、立地の良い新築ワンルームマンションのご紹介に加え、大手金融機関とも連携し、多くの選択肢の中からお一人お一人の状況に合ったローンをご案内しています。30年超にわたる実績やノウハウを生かした支援に定評があるため、フルローンの審査に不安がある方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。