投資の基礎 2026.01.30 2026.03.16

新築ワンルームマンション購入の流れ【シリーズ:初めての不動産投資】

新築ワンルームマンション購入の流れ【シリーズ:初めての不動産投資】

資産形成の手段として不動産投資を始めたいと思い立ち、情報収集をしている方も多いでしょう。しかし、こと不動産投資においては、根拠不明な情報も拡散されており、調べれば調べるほど誤った理解をしてしまうケースが後を絶ちません。

本連載の第1回から第9回では、ケーススタディーを通して、不動産投資初心者の方へ、正しい知識と戦略の基本をお伝えしてきました。

第10回からは、実際に新築ワンルームマンションを購入する際に押さえておきたい実践的な知識をご紹介していきます。

第10回のテーマは「新築ワンルームマンション購入の流れ」です。実際に物件を購入する際の流れを押さえ、具体的な計画へとつなげましょう。

この記事で分かること

  • 新築ワンルームマンションを購入する際は、まず新築を取り扱っている会社を探す
  • 新築を取り扱っている不動産デベロッパーには、物件の紹介のみならず、融資を受ける金融機関の紹介や契約書の手配なども任せられる
  • 管理会社や賃貸仲介会社の紹介まで丸ごとお任せできる不動産デベロッパーもある

シリーズを通して読んでいただくことで、不動産投資への正しい知識と理解が深まります。初めて読む方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。

登場人物①
山田さん
山田さん
28歳 男性
中堅の設備機器メーカー勤務(勤続5年) 年収500万円

不動産投資初心者 検索で見つけたエスリード株式会社に不動産投資の相談にやってきた。
太田さんの話を聞いて、老後資金の確保を目的に新築ワンルームマンション投資を始めることを決意
登場人物②
太田 学さん
太田さん
エスリード株式会社
営業戦略室 マーケティングリーダー

投資用マンションを中心に、不動産投資の仕組みや魅力を「データ×現場のリアルな視点」で発信。データ分析に基づく集客設計から顧客フォロー、成約後のサポート体制づくりまでを一貫して推進し、投資家が安心して資産形成に臨める環境の整備に尽力。信頼できる情報を通じて、一人でも多くの方が自分らしい不動産投資を実現できるよう記事制作や監修を行っている。

不動産投資で新築ワンルームマンションを購入する流れ

山田さん

投資用の物件を購入する際は、どのような流れで進んでいくのでしょうか?

太田さん

山田さんにおすすめの「新築のワンルームマンション」を購入する場合は、次のステップに沿って進めるのが基本です。

Step.1 不動産投資の目的を明確にする
Step.2 新築ワンルームマンションを取り扱っている会社を探す
Step.3 物件を探す
Step.4 融資の申請&物件の申し込み
Step.5 契約締結
Step.6 管理会社や賃貸仲介会社を選定する

以下で一つ一つ解説していきます。

【Step.1】不動産投資の目的を明確にする

第1回で取り上げたように、不動産投資の本当の目的を明確にすることは非常に重要であり、不動産投資を始める最初のステップです。

よく挙げられる不動産投資のメリットとして「家賃収入を得られる」「節税になる」などがありますが、これらは本当の目的とはいえません。「なぜ家賃収入を得たいのか?」「なぜ節税をしたいのか?」を掘り下げることで、本当の目的が見えてきます。

山田さんの場合は「老後資金の確保」が真の目的でしたね。こうして目的がはっきりすると、考慮すべきポイントと、考慮しなくてもよいポイントが明確になります。

老後資金の確保が目的であれば「立地」や「築年数」「管理会社や不動産仲介会社」はしっかり考慮したいポイントですが、「節税効果」や「不動産価格の上昇」などは目的とは異なるため、おまけ程度に考えるのが吉です。

また物件を購入する前に、不動産投資の基礎知識を身に付けることも重要なプロセスです。第1回から第9回では不動産投資の正しい知識と戦略をご紹介していますので、まだご覧になっていない方は、ぜひ、先へ進む前にご一読ください。

【Step.2】新築ワンルームマンションを取り扱っている会社を探す

投資用物件を探す方法として、不動産ポータルサイトや不動産仲介会社を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、新築ワンルームマンションはそういった場所ではほとんど見つかりません。新築は基本的に不動産デベロッパーが取り扱っているため、選べる会社の数はだいぶ絞られます。

なお、不動産デベロッパーとは、土地や建物の開発・企画を行う企業のことです。土地の購入から設計、建築、運用・管理までを一括で担います。主に大型マンションや複合商業施設などを手掛けているケースが多いです。エスリードも、不動産デベロッパーの一つです。

新築ワンルームマンションを取り扱っている会社を探し、いくつかに問い合わせてみましょう。

【Step.3】物件を探す

不動産デベロッパーへ連絡を取り、取り引きしたいと思うところが見つかったら、物件を紹介してもらいます。

山田さんの目的である「老後資金の確保」のためには、長期的に見て需要が減少しない立地にある物件を紹介してもらうことが重要です。第9回で解説した通り、不動産デベロッパーであれば、将来の需要を見込んでマンション開発を行うため、不動産投資で最も重要な立地選びをクリアできる可能性が高いです。

【Step.4】物件の申し込み&融資の申請

基本的に物件との出会いは一期一会です。特に新築は数が少なく、悩んでいる間に他の人からの申し込みが入ってしまうことも少なくないため「ここが良い」と思った物件があれば、すぐに不動産デベロッパーの担当者へ伝えましょう。

特に角部屋や上層階など、賃貸需要が高い物件から売れていく傾向にあるため、早めに購入の意思を示した方が希望の部屋を手に入れられる確率は高くなります。また人気エリアの物件は短期間で完売するケースが多いので、思い立ったが吉日、すぐに申し込みをしましょう。

問い合わせたタイミングで気に入る物件がなかった場合でも、営業担当者に対して、不動産投資に前向きな姿勢を示しておくのがおすすめです。購入意欲が高い顧客として認識してもらえると、新規物件の販売がスタートした際に、優先的に連絡をもらえる可能性が高まります。結果として、好条件の物件に出会えるチャンスにつながるでしょう。

購入したい物件を見つけたら、物件の申し込みと同時に、金融機関への融資の申請も行います。不動産投資ローンを組む金融機関は、基本的に不動産デベロッパーから紹介してもらいます。金融機関を訪問する前には、必ずアポイントを取りましょう。融資の審査基準や条件は金融機関によって異なります。一つの金融機関に断られたからといって諦めず、他の金融機関へ相談してみましょう。

【Step.5】契約締結

物件の購入希望と金融機関の融資の審査が通ったら、重要事項説明を受けてから契約を締結します。重要事項説明とは、不動産の売り買いを行う際に必ず行わなければならない手続きです。宅地建物取引士が買い主に対して物件の状態や権利関係、契約条件などを説明し、誤った認識がないかを確認する作業です。

新築の場合は、基本的に不動産デベロッパーが契約書を手配してくれます。知識がない場合でも必要な契約内容を盛り込んでもらえるため、手間が少なく済みます。

なお、契約書の内容は民法によって定められているものであり、しっかりとした不動産会社であれば必要な項目は全て含まれています。そのため、主にパンフレットと重要事項説明、契約書の内容に相違がないかや、認識の違いがないか、疑問点がないかといった点を中心に確認すれば問題ないでしょう。

【Step.6】管理会社や賃貸仲介会社を選定する

物件を購入後、運用を始めるためには、管理会社や賃貸仲介会社との契約も必要です。

管理会社を選ぶ際は、管理費用の安さだけで選ぶのは避けましょう。せっかく新築を購入しても、ずさんな管理会社に任せてしまうと老朽化が早まってしまい、修繕費用が余計にかかったり、想定よりも早い時期から家賃を下げなければならなくなったりする可能性があります。

特に長期的に運用する予定であったり、将来的に売却する予定であったりする場合は、管理体制が整っており、実績が多く信頼できる管理会社を選びましょう。

また賃貸仲介会社選びも大切です。原則として、不動産投資では、入居者がいなければ家賃収入を得られません。入居者がなかなか付かず、空室期間が長く続くと想定していた収益を得られなくなってしまうため、賃貸仲介会社のノウハウや対応力も重要になります。

新築ワンルームマンション投資なら丸ごと任せられる会社がおすすめ

山田さん

物件を購入する際のイメージがつかめてきました!

太田さん

新築ワンルームマンションを購入する場合は、基本的に不動産デベロッパー(売主)とやり取りをすることになります。物件探しから契約まで、不動産デベロッパーにお任せできる部分は多いため、不動産投資初心者でも安心して進めやすいでしょう。ちなみに、エスリードであれば、立地の良い新築ワンルームマンションのご紹介はもちろん、グループの管理会社や賃貸仲介会社のご紹介まで、丸ごとお任せいただけます。

山田さん

プロが一緒に物件選びや金融機関選び、管理会社選びまで手伝ってくれるのは、かなり心強いです。

新築ワンルームマンション投資にご興味をお持ちの方は、ぜひ、次の記事以降も山田さんと一緒に学んでいきましょう。第11回のテーマは「投資用新築ワンルームマンションを探すときのポイント」です。新築ワンルームマンションの探し方や物件の決め方は、中古物件とは大きく異なります。次の記事で、新築特有の物件選びについて解説していきます。

さっそく山田さんのようにエスリードに相談したいという方は、以下のフォームよりお問い合わせください。

監修者プロフィール
山田 太郎

田端 俊之
エスリード株式会社
営業部営業戦略室 次長

1999年 日本エスリードに入社、営業部門、開発部門を経て2002年から企画・マーケティング部門に従事。 携わったマンションの販売企画は100物件を超え、CM制作や自社主催のセミナー講師も務める。

マーケティング室の統括責任者として長年市場分析やマーケティング戦略業務に従事してきた経験を活かし、デベロッパーの市場分析目線から《マンション経営》をわかりやすくお伝えします。

関西の国立大学で経済学・マーケティングを学び、1999年に日本エスリードに入社。
入社以来、企画及びマーケティングを担当し、マーケティング室の統括責任者として市場分析やマーケティング戦略業務を担う。

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不動産投資の基礎知識 2026.06.15 日本の金利はなぜ上がり始めたのか? 金利変動の仕組みと不動産投資への影響・対策を解説 資産形成や本業以外の収入源作りを目的に、不動産投資を検討する方は少なくありません。一方で「金利が上がると返済額はどのくらい増えるのか」「金利上昇局面で不動産投資を始めてもよいのか」と悩んでいる方もいるでしょう。 不動産投資ではローンを活用して物件を購入するケースが多いため、金利の変動が毎月の返済額やキャッシュフローに影響します。ただし、金利上昇は不動産投資にとって必ずしもマイナスに働くとは限りません。金利の決まり方や上昇の背景を理解しておけば、リスクの大きさや対策を判断しやすくなります。 本記事では、金利の基本や変動金利・固定金利の違い、金利上昇が不動産投資に与える影響、金利上昇局面で取るべき対策を解説します。 ※本記事の内容は、2026年6月時点の情報です suggest2 金利には変動金利と固定金利があり、金融政策や景気・雇用の動き、海外情勢など複数の要因によって変動する 金利上昇は多くの投資商品に影響を及ぼすが、マイナスの側面だけではないため、仕組みを理解し、情報収集を続けることが重要 金利上昇局面では、返済シミュレーションや家賃相場の確認、借り換え・繰り上げ返済などの対策が重要。これから不動産投資を始める場合は、提携している金融機関の多い不動産会社を選ぶことも一つの方法 そもそも金利とは? 不動産投資で知っておきたい基本 金利とはお金を貸し借りするときに、借入金額に対して発生する利息の割合のことです。利息とは、お金を借りる対価として支払う金額を指します。 例えば100万円を1年間、金利1%で借りた場合、1年間で発生する利息は1万円です。不動産投資では物件購入時に多額の資金を借り入れるケースが多いため、金利が高くなるほど返済負担が重くなり、毎月の収支にも影響します。 不動産投資ローンの金利には、大きく分けて「変動金利」と「固定金利」があります。それぞれ特徴が異なるため、違いを理解した上で選ぶことが大切です。 変動金利 変動金利とは、市場金利の動向に応じて適用金利が変わる金利タイプです。一般的には、各金融機関が設定する基準金利に連動する形で、半年に一度程度のタイミングで適用金利が見直されます。 変動金利のメリットは、固定金利よりも低い金利で借り入れできる可能性がある点です。契約期間中の金利を低く設定できれば、毎月の返済額や返済総額を低く抑えられます。キャッシュフローの安定化や返済負担の軽減につながるでしょう。 また変動金利には、金利上昇時の返済負担が急激に増えにくい仕組みが設けられています。代表的なのが「5年ルール」と「125%ルール」です。 table2 ルール 概要 メリット 5年ルール 金利が変動しても、月々の返済額の見直しを5年ごとに行う仕組み 金利が上昇しても、すぐに毎月の返済額が変わらないため、短期的な返済計画を立てやすい 125%ルール 返済額が増える場合でも、見直し後の返済額が直前の返済額の125%を超えないようにする仕組み 返済額の急激な増加を抑えやすく、キャッシュフローへの影響を緩和しやすい これらのルールが適用されるローンであれば、金利が上昇した場合でも返済額が急増するのを防ぐことができます。ただし、利息負担そのものがなくなるわけではありません。金利が上昇すると、毎月の返済額が据え置かれていても返済額に占める利息の割合が増え、元本の減りが遅くなる可能性があります。 そのため変動金利を選ぶ場合は、借り入れ当初の金利の低さだけで判断せず、金利上昇時の返済額や総支払額の変化もシミュレーションしておくことが大切です。 固定金利 固定金利とは、契約時に決めた金利が一定期間、または返済期間中ずっと変わらない金利タイプです。固定金利には、借り入れ当初から完済まで金利が変わらない「全期間固定金利型」と、3年・5年・10年など一定期間だけ金利を固定する「固定金利選択型」があります。 固定金利のメリットは、市場金利が上昇しても契約時の金利が一定期間維持されるため、返済額が変わりにくい点です。毎月の返済額を把握しやすく、長期的な収支計画を立てやすいことから、金利上昇リスクを抑えたい方に向いています。 一方で、固定金利は変動金利よりも金利が高めに設定される傾向にあります。返済総額が大きくなりやすく、市場金利が下がった場合でもその恩恵を受けにくい点はデメリットです。返済額の安定性を重視するのか、低金利による返済負担の軽減を重視するのかによって、選ぶべき金利タイプは変わります。 金利の違いによる総支払額の差はどのくらい? 金利はわずかな差でも、返済期間が長くなるほど総支払額に大きな影響を与えます。ここでは、借入金額3,000万円を30年で返済するケースを例に、金利2%と3%の金額感の違いを見てみましょう。 table2 金利 毎月の返済額 総返済額 2% 約110,886円 約3,992万円 3% 約126,481円 約4,553万円 ※元利均等返済・ボーナス払いなしで試算 このケースでは、金利が1%違うだけで、総支払額には約561万円の差が生まれます。国税庁の民間給与実態統計調査によると、2024年の給与所得者の平均給与は478万円です(※)。金利差による支払額の違いが、一般的な年間収入を上回る規模になってしまいます。 不動産投資では、金利上昇によって毎月の返済額が増えると、家賃収入は変わらなくても手元に残る資金は減る可能性があります。空室や修繕費が発生した際に充てる資金の余裕も少なくなってしまうため、金利の変化は収支に大きく影響するでしょう。 ただし、実際の支払額は借入金額や返済期間、返済方法、金利タイプによって変わります。不動産投資ローンを検討する際は、ご自身の条件でシミュレーションを行い、金利上昇時にどの程度返済負担が増えるのかを確認しておくことが大切です。 ※参考:国税庁.「令和6年分 民間給与実態統計調査」.(参照:2026-05-21). 金利の変動に影響を与える3つの要因 金利の変動は、金融政策や景気・物価、海外情勢など、さまざまな要因が絡み合って起こります。投資を始めようと考えているなら、金利が変動する背景を理解しておくことが大切です。 ここでは、金利の変動につながる代表的な要因を3つご紹介します。 インフレ・デフレと中央銀行の金融政策 景気や雇用の動き 海外金利や地政学的な理由 インフレ・デフレと中央銀行の金融政策 金利に大きく影響する要因の一つが、インフレ・デフレと中央銀行の金融政策です。政策金利とは、中央銀行が金融政策を行う際に操作する短期金利のことで、日本では日本銀行が金融政策を通じて金利水準を決めています。 物価が上がり続けるインフレの局面では、中央銀行が政策金利を引き上げることがあります。金利を上げることで企業や個人がお金を借りにくくなり、消費や投資の過熱を抑えやすくなるためです。一方で、景気が悪化して物価が下がりやすいデフレの局面では、金利を下げて企業や個人がお金を借りやすい環境を整え、経済活動を刺激することがあります。 中央銀行が政策金利を引き上げると、金融機関の資金調達コストが上がるため、銀行の貸出金利やローン金利も上昇しやすくなります。 景気や雇用の動き 景気や雇用の動きも、金利に影響する要素の一つです。景気が良くなると、商品やサービスが売れやすくなり、企業の利益が増えます。企業は設備投資や人材確保のために銀行から資金を借りる機会が増えるため、資金需要が高まり、金利は引き上げられやすくなります。 また景気が拡大して雇用が活発になると、賃金が上がることもあります。賃金上昇によって消費が増え、物価が上がりやすくなると、インフレを抑えるために金利が引き上げられる場合もあるでしょう。反対に、景気が低迷して企業の投資意欲や個人の消費が弱まると、資金需要が減り、金利は下がりやすくなります。 海外金利や地政学的な理由 日本の金利は、国内の景気や物価だけではなく、海外金利や為替、資源価格、地政学的リスクの影響も受けます。海外の金利が上昇すると、より高い利回りを求めて投資資金が海外へ向かいやすくなり、為替や国内金利にも影響を与えることがあります。 また円安が進むと、輸入品やエネルギーの価格が上がりやすくなります。原油価格や天然ガス価格が上昇すれば、食品価格や電気代、ガソリン代などにも波及し、国内のインフレ圧力が強まることがあります。物価上昇が続けば、中央銀行がインフレを抑えるために金利を引き上げる可能性もあるでしょう。 近年は、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化などにより、資源価格や物流コストが変動しやすい状況が続いています。こうした海外情勢は、国内の物価や金融政策にも影響し、不動産投資ローンの金利にも間接的に関わる可能性があります。 不動産投資ローンの金利はどのように決まる? 実際に適用される金利は、契約者の年収や勤務先、勤続年数、他の借り入れ状況、物件の担保評価、収益性なども踏まえて判断されます。しかし不動産投資ローンの金利がどのような指標を基に決まるのかを把握しておけば、市況の変化に応じた対策を取りやすくなるでしょう。 ここでは変動金利と固定金利に分けて、不動産投資ローンの金利が決まる仕組みを解説します。 変動金利は短期プライムレートなどによって決まる 変動金利は、主に短期プライムレートを基準に決まります。プライムレートとは、金融機関が信用力の高い企業などに貸し出す際に適用する最優遇金利のことです。短期プライムレートは、1年未満の短期貸し出しに用いられる最優遇金利を指します。 短期プライムレートは、日本銀行の政策金利や金融市場の動向、金融機関の資金調達コストなどを踏まえて決まります。変動金利型ローンは、この短期プライムレートを基準にしていることが多く、政策金利が引き上げられると、金融機関の貸出金利も上がりやすくなります。 実際に適用される金利は、短期プライムレートだけで決まるわけではありませんが、基準となる指標を確認しておくことで、金利変動の方向性を把握しやすくなります。 固定金利は長期プライムレートなどによって決まる 固定金利は、長期プライムレートや長期国債利回りなどの影響を受けて決まります。長期プライムレートとは、金融機関が信用力の高い企業などに1年以上の長期貸し出しを行う際に適用する最優遇金利のことです。 固定金利は、借入期間中または一定期間の金利をあらかじめ固定するため、将来の金利動向を織り込んで決められる傾向にあります。特に10年物国債などの長期国債利回りは、固定金利に影響しやすい代表的な指標です。 各金融機関は、長期国債の利回りや日銀の金融政策、資金調達コスト、将来の金利見通しなどを総合的に判断して固定金利を設定します。長期金利が上昇すると、固定金利型ローンの金利も上がりやすくなるため、固定金利を検討する際は長期国債利回りの動向も確認しておきましょう。 日本の金利はなぜ上がっているの? 先述した通り、日本の金利は上昇傾向にあります。これまで長らく低金利の状態が続いていたため、不安に感じる方もいるでしょう。これまでの日本の金利事情を振り返った上で、近年の金利上昇について解説します。 1990年代初頭のバブル崩壊から長らく続いたデフレスパイラル 日本ではバブル崩壊後の景気低迷を背景に、長く低金利政策が続いてきました。1990年代初頭に土地や株式の価格が大きく下落し、企業の投資意欲や個人消費が落ち込んだことで、日本経済は長期的なデフレに悩まされるようになりました。 物価が下がることは一見良いことのように思えますが、経済全体では深刻な問題につながります。「今買うよりも、将来さらに安くなる」と考える人が増えると、消費が控えられ、企業の売り上げや賃金が伸びにくくなるためです。その結果、さらに物価が下がるという悪循環に陥る恐れがあります。 こうした状況を受け、日本銀行は1999年にゼロ金利政策を導入しました。ゼロ金利政策とは、金融機関同士が短期資金を貸し借りする際の金利を、実質的にゼロに近づける政策です。企業や個人がお金を借りやすい環境を整え、投資や消費を促すことが目的でした。 その後、2000年には一度ゼロ金利政策が解除されたものの、景気回復は十分に進まず、2001年以降も量的緩和政策が続きました。さらに2006〜2007年にかけて小幅な利上げが行われましたが、2008年のリーマンショックによる世界金融危機を受け、再び低金利政策が続くことになります。 2013年以降は「アベノミクス」や「異次元の金融緩和」が進められました。国債の大規模な買い入れなどを通じて市場に資金を供給し、物価上昇率2%の実現を目指した政策です。2016年にはマイナス金利政策も導入され、日本銀行当座預金の一部にマイナス金利が適用されるようになりました。 世界情勢の変化によりインフレ圧力が高まる 大きな転換点となったのが、2024年です。日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、金融政策の枠組みを見直しました。その後、2024年7月に政策金利を0.25%程度へ引き上げ、2025年1月には0.5%程度、2025年12月には0.75%程度へと段階的な利上げが行われています。 日本で金利が上昇している背景には、物価上昇や賃上げの動きがあります。2022年以降、ロシアによるウクライナ侵攻やコロナ禍からの経済回復に伴う供給制約、エネルギー価格・食品価格の上昇などにより、世界的にインフレ圧力が高まりました。日本でも輸入物価の上昇を通じて、生活必需品やエネルギー価格の上昇が家計に影響を与えるようになりました。 日銀が長年目指してきた物価上昇とは異なり、当初はコスト上昇によるインフレの側面が強かったものの、近年は企業収益の改善や賃上げの動きも見られています。 つまり日本の金利上昇は、長年続いた低金利政策からの正常化の流れと、物価上昇・賃上げの定着を見極める日銀の金融政策によって進んでいるといえます。現に、2026年6月15日の金融政策決定会合では、政策金利を1.0%へ引き上げる見込みが高まっており、これが実現すれば1995年以来、約31年ぶりの高水準となります。 インフレにより家計が豊かになっているのか、生活を圧迫しているのかは判断が難しい状況ですが、これから投資を行おうと考えている方は、今後の政策金利や物価、賃金の動向にも注意しておくことが大切です。 金利上昇は資産運用にどのような影響がある? 不動産投資は金利上昇の影響が分かりやすい投資方法のため、金利上昇と聞くと、不動産投資ローンの返済負担が増えることをイメージする方も多いでしょう。しかし株式や債券、投資信託など、他の資産運用にもマイナスの影響が出ることがあります。 つまり金利上昇は不動産投資だけのリスクではなく、資産運用全体に関わる重要なテーマなのです。ここでは株式投資やNISAでの資産運用などが、金利上昇によってどのような影響を受けるのかについて解説します。 株価が下がることがある 金利が上昇すると、株価に下落圧力がかかることがあります。理由の一つは、企業が融資を受ける際のコストが増えるためです。借り入れにかかる利息が増えれば、企業の利益が圧迫されやすくなり、業績見通しが悪化する可能性があります。特に借入額が多い企業ほど、金利上昇の影響を受けやすいでしょう。 また金利が上がると、投資家にとって預金や債券などの相対的な魅力が高まります。リスクを取って株式を買わなくても、比較的安定した利息収入を得やすくなるためです。その結果、株式から預金や債券へ資金が流れやすくなり、株価の下落要因になることがあります。 ただし、金利上昇が必ず株価下落につながるわけではありません。景気が強く、企業の利益成長が続いている局面では、金利が上がっても株価が底堅く推移することがあります。金利だけではなく、企業業績や景気動向も併せて見ることが大切です。 成長株やグロース株は特に影響を受けやすい 成長株やグロース株とは、現在の利益よりも、将来の成長期待が評価されて買われる株式のことです。最近ではAI関連企業やIT・SaaS系企業、半導体関連企業などで、将来の利益拡大への期待が株価に反映されやすい傾向にあります。 金利が上昇すると、将来得られる利益の現在の価値は小さくなります。対して、預金や債券の利息で得られる利益は増えます。つまり、何年も先の利益のためにリスクを冒さなくても、安定性の高い預金や債券で十分利益を得られるため、将来の成長期待で買われていた株式の魅力が相対的に下がってしまうのです。 そのため、金利上昇局面では成長株やグロース株の株価が特に下がりやすくなる場合があります。2022年に米国で急速な利上げが行われた際も、成長株が多いナスダック総合指数は大きく下落しました。このように株式の中でも金利上昇による影響は異なります。 債券は価格が下がりやすくなる 債券とは、あらかじめ決められた利率に基づいて利息を受け取る金融商品です。金利が上昇すると新しく発行される債券の利率も高くなりやすいため、以前に発行された低い利率の債券は相対的に魅力が下がります。 例えば金利2%の債券を保有しているときに、同じような条件で金利3%の新しい債券が発行されると、投資家は新しい債券を選びやすくなります。その結果、古い債券は価格を下げて利回りを調整する必要が出てくるのです。 このように、債券価格と金利は一般的に逆の動きをします。金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がる関係です。 債券ファンドも、多くの債券をまとめて保有する商品であるため、保有債券の価格変動の影響を受けます。特に長期債券は、将来受け取る利息や償還金までの期間が長いため、金利変動の影響を受けやすい点に注意が必要です。 金利上昇が追い風になる資産や業種もある 金利上昇は、全ての資産にとってマイナスに働くわけではありません。資産や業種によっては、金利上昇が追い風になることもあります。 代表的なのが、銀行や保険会社などの金融関連株です。銀行は、預金などで集めた資金を貸し出し、その金利差で収益を得ています。金利が上昇すると貸出金利が上がりやすくなり、預金金利との差である利ざやが拡大することで、収益増加につながる場合があります。保険会社も、運用している債券などの利回りが高まれば、運用収益の改善が期待されることがあります。 また高配当株やバリュー株のように、将来の大きな成長期待よりも、現在の利益や配当で評価されやすい銘柄は、グロース株と比べると金利上昇の影響を受けにくい場合があります。もちろん業績が悪化すれば株価が下がる可能性はあるため、配当利回りだけで判断するのは避けましょう。 NISAで資産運用をしている場合も、金利上昇による影響は保有している商品によって異なります。株式中心の投資信託であれば株価の影響を受け、債券を含むバランス型のファンドであれば債券価格の下落が基準価額に反映されることがあります。金利上昇局面では、どの資産に投資しているかを確認することが重要です。 不動産投資において金利上昇はどのような影響がある? ローンを利用して物件を購入している場合、金利の上昇は毎月の返済額や総返済額に関わるため、収支計画を見直すきっかけになるでしょう。また金利上昇は、投資家の期待利回りや物件価格にも影響する可能性があります。ここでは、不動産投資において金利上昇が与える主な影響を3つ解説します。 ローン返済額が増える可能性がある キャッシュフローが悪化する可能性がある 不動産価格が下落する可能性がある ローン返済額が増える可能性がある 金利が上昇するとローンの利息負担が増え、総返済額が大きくなる可能性があります。特に変動金利で不動産投資ローンを組んでいる場合は、市場金利の上昇に伴って適用金利が見直され、月々の返済額が増えることがあります。 固定金利の場合、固定期間中は金利上昇の影響を受けないものの、固定金利選択型では契約更新のタイミングで金利が上がる可能性があります。将来的に借り換えを検討する場合も、その時点の金利水準によっては返済負担が増えるかもしれません。 ただし、変動金利タイプの中には「5年ルール」や「125%ルール」が適用されるローンもあります。これらの仕組みがある場合、金利が上昇しても短期間で返済額が大きく跳ね上がるリスクは抑えやすくなります。ただし、利息負担そのものがなくなるわけではないため、返済額の内訳や総支払額への影響には注意が必要です。 キャッシュフローが悪化する可能性がある 金利上昇によってローン返済額が増えると、毎月のキャッシュフローが悪化する可能性があります。不動産投資では、家賃収入からローン返済や管理費、修繕費などを差し引いた金額が手元に残ります。そのため、家賃収入が変わらないまま返済負担だけが増えると、手元に残る資金が減ってしまうのです。 キャッシュフローに余裕がなくなると、空室や修繕費が発生した際に収支が悪化しやすくなります。不動産投資を長期的に続けるためには、金利が上がった場合でも運用を継続できるだけの計画を立てることが大切です。金利が上昇した場合の返済額や手元資金の変化も、シミュレーションしておきましょう。 不動産価格が下落する可能性がある 金利上昇は、不動産価格にも影響を与えることがあります。金利が上がると投資家の資金調達コストが増え、ローンを利用して不動産を購入するハードルが高くなります。その結果、市場全体で投資家の購買意欲が弱まり、物件価格に下落圧力がかかる可能性があるのです。 また金利が上昇すると、収益物件に対して投資家が求める期待利回りも高くなりやすい点に注意が必要です。収益物件の価格は、年間純収入を期待利回りで割る収益還元法で考えられることがあります。収益還元法で算出した場合の期待利回りと、物件価格の関係を見てみましょう。 table2 年間純収入 期待利回り 物件価格の目安 84万円 3% 2,800万円 84万円 5% 1,680万円 このように年間純収入が同じ場合、期待利回りが高くなるほど物件価格の目安は下がります。期待利回りが上がったとしても、家賃をすぐに引き上げるのは簡単ではありません。そのため投資家が求める利回りを満たすために、物件価格を下げる形で調整されることがあります。 金利上昇が不動産投資にとって必ずしもマイナスではない理由 金利上昇が不動産投資に与える影響として、ローン返済額の増加やキャッシュフローの悪化、不動産価格の下落リスクなどを解説しました。しかし、金利上昇は不動産投資にとって必ずしも悪いことばかりではありません。 ここでは、金利上昇が不動産投資にプラスに働く可能性がある側面を解説します。 家賃を上げられる可能性がある 金利が上昇する背景には、インフレや景気の回復が関係していることがあります。物価や賃金が上昇する局面では、生活費や人件費、建築費、管理費なども上がりやすく、所有物件のあるエリアの家賃水準も上昇する可能性があります。 家賃を引き上げられれば、金利上昇によって増えたローン返済額を、家賃収入の増加で一部相殺できる場合があります。特に、駅近や都心部など賃貸需要が高いエリアでは、市況の変化に合わせて賃料を見直しやすいでしょう。 ただし、既存の入居者がいる場合、家賃の値上げには入居者との合意が必要なので、オーナーの判断だけで自由に引き上げられるわけではありません。また相場とかけ離れた家賃を設定すると、退去や空室の長期化につながる恐れもあります。賃料改定を検討する際は、周辺相場や物件の状態、入居者との関係を踏まえて慎重に進めることが大切です。 不動産価格が上昇するケースもある 先述した通り、一般的に、金利上昇は不動産価格の下落要因になるとされています。ローンを利用して物件を購入する際の資金調達コストが高くなり、投資家が求める利回りも上がりやすくなるためです。 一方で、不動産価格は金利だけで決まるわけではありません。人口流入が続いているエリアや、賃貸需要が安定しているエリアでは、金利上昇局面でも不動産価格が底堅く推移したり、上昇したりするケースがあります。総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、東京圏は30年連続で転入超過となっており、大阪圏も3年連続で転入超過となっています(※)。こうした人の流れがある地域では、住まいへの需要が不動産価格を支える要素になるでしょう。 また不動産は実物資産であるため、インフレ時には物価上昇の影響を受けやすいです。建築費や土地価格が上がると新築物件の価格が上昇し、それに伴って既存物件の価格にも影響する可能性があります。賃貸需要が強いエリアであれば、将来的な売却価格や担保価値の維持・向上につながることもあるでしょう。 ただし、金利上昇局面で全ての不動産価格が上がるわけではありません。人口減少が進むエリアや賃貸需要が弱い物件では、金利上昇による買い手の減少や利回り上昇の影響を受け、価格が下がる可能性もあります。金利上昇時こそ、立地や賃貸需要、再開発の有無、将来の人口動向などを踏まえて、価格を維持しやすいエリア・物件を選ぶことが重要です。 ※参考:総務省統計局.「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」.(参照:2026-05-21). 金利上昇局面で不動産投資家が取るべき対策 金利上昇局面では、不動産投資にさまざまな影響が出る可能性があります。ただし、事前にリスクを把握し、収支計画や運用方法を見直しておけば、影響を抑えながら運用を続けやすくなります。 ここでは、すでに不動産投資を行っている方や、これから始めようとしている方が取り組める主な対策をご紹介します。 経済動向への理解を深める 無理のない返済計画を立てる 家賃相場や収支を小まめに確認する 借り換えや繰り上げ返済、売却も選択肢に入れる 経済動向への理解を深める 不動産投資における金利上昇リスクを軽減するためには、経済動向への理解を深めることが大切です。金利は日本銀行の金融政策だけではなく、物価や賃金、景気、海外金利、為替など複数の要因によって変動します。 例えばGDPや消費者物価指数、景気動向指数、雇用統計などの経済指標を確認すると、景気や物価の方向性を把握しやすくなります。また日本銀行の金融政策決定会合や総裁会見の内容を確認しておけば、今後の金利動向を予測する材料になるでしょう。 もちろん、金利の動きを正確に予測することは簡単ではありません。しかし、経済ニュースや金融政策の流れを理解しておくことで、借り換えや繰り上げ返済、物件購入のタイミングなどを早めに検討しやすくなります。 無理のない返済計画を立てる 金利上昇局面では、無理のない返済計画を立てることも重要です。物件購入時には、現在の金利だけで判断するのではなく、将来金利が上がった場合でもキャッシュフローを維持できるかを確認しておきましょう。 例えば、適用金利が1%上昇した場合や、返済額が1.25倍になった場合などを想定して、返済シミュレーションを行う方法があります。金利が上がっても当初予定していた収支プランが破綻しないかを事前に確認しておくことで、リスクに備えやすくなります。 また購入時に自己資金を多めに入れて借入金額を抑えることも、将来の金利上昇リスクを緩和する方法の一つです。借入金額が少なければ、金利が上がった場合の利息負担も抑えやすくなります。返済方法を選べる場合は、元金均等返済を検討するのも一つの方法です。元金均等返済は、毎月返済する元金が一定で、返済が進むほど利息負担が減りやすい仕組みです。ただし、返済開始当初の負担は元利均等返済より重くなる傾向にあるため、手元資金や毎月の収支に余裕があるかを確認した上で選びましょう。 家賃相場や収支を小まめに確認する 金利上昇時には、家賃相場や物件の収支を小まめに確認することも大切です。返済負担が増えた場合でも、家賃収入を適切に維持・改善できれば、キャッシュフローの悪化を抑えやすくなります。 周辺の家賃相場や入居率、競合物件の設備状況などを定期的に確認し、必要に応じて賃料や募集条件を見直しましょう。インフレや賃貸需要の増加によって周辺相場が上がっている場合は、更新時や新規募集時に家賃の見直しを検討できる可能性があります。管理会社と連携しながら、空室期間の短縮や設備改善につながる施策を検討することで、収益性を維持しやすくなります。 借り換えや繰り上げ返済、売却も選択肢に入れる 金利上昇の影響が大きい場合は、借り換えや繰り上げ返済、売却も選択肢に入れて検討しましょう。より低い金利のローンへ借り換えられれば、毎月の返済額や総返済額を抑えられる可能性があります。 また手元資金に余裕がある場合は、繰り上げ返済によってローンの元本を早めに減らす方法もあります。元本が減れば、将来支払う利息を抑えやすくなり、金利上昇の影響も軽減しやすくなります。ただし、繰り上げ返済には手数料がかかる場合があり、手元資金が減ることで修繕費や空室への備えが薄くなることもあるため、慎重な判断が必要です。 繰り上げ返済をするべきかの判断は金利や残債、残りの返済期間、手元資金などによって異なります。場合によっては別の投資に資金を回したり、2件目の不動産投資を検討したりする方が、リスク分散につながることもあるでしょう。 上記の方法でも改善が難しい場合は、売却を検討することも一つの方法です。ただし、売却時には売却益だけではなく、譲渡所得税や仲介手数料、ローン残債なども踏まえて手元に残る金額を確認する必要があります。土地や建物を売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得税が、5年以下の場合は短期譲渡所得税がかかります。どちらに該当するのかによって税負担が大きく変わるため、売却時期は慎重に判断しましょう。 不動産投資ローンは変動金利と固定金利のどちらがよい? 変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきかは、金利の低さだけではなく、将来の金利上昇リスクをどこまで許容できるかによって変わります。 変動金利は、固定金利よりも低い金利で借り入れられる可能性が高い一方で、完済まで金利水準の変化を小まめに注視する必要があります。金利が低い時期は返済負担を抑えやすいものの、将来的に金利が上昇すれば、毎月の返済額や総支払額が増える可能性があるからです。 一方で全期間固定金利を選べば、契約時の金利が完済まで変わらないため、長期的な返済計画を立てやすくなります。ただし、金利水準が高い時期に契約すると、割高な金利が続く点には注意が必要です。 また「変動金利が上がったら固定金利に変更すればよい」と考える方もいますが、この判断には注意が必要です。固定金利は将来の金利見通しを織り込んで決まるため、変動金利よりも先に上昇する傾向にあります。そのため、変動金利の上昇を確認してから固定金利へ切り替えようとしても、その時点ですでに固定金利も上がっている可能性があります。 このように、変動金利と固定金利はどちらが一律に有利とはいえません。毎月の返済額を抑えてキャッシュフローを重視したいのか、返済額を固定して安定した運用を優先したいのかを整理した上で選択してください。 これから不動産投資を始めるなら、最初のローン選びが重要 これから不動産投資を始める場合は、最初のローン選びが重要です。借り換えや繰り上げ返済はあくまで現在の借り入れ条件やキャッシュフローを改善する手段の一つであり、最初から条件の良いローンを選べていれば、こうした対応の必要性を抑えやすくなります。 特に不動産投資ローンを借り換える際は、事務手数料や保証料、抵当権設定・抹消の登記費用、司法書士費用、印紙税などが発生します。借り換えによって低い金利が適用されても、残債や残りの返済期間によっては、手数料負担で借り換えメリットが相殺されてしまう可能性もあるでしょう。 そのため、金利タイプや融資期間、団体信用生命保険の内容、繰り上げ返済の条件などを比較し、最初からご自身に合ったローンを選ぶことが長期的な安定運用につながります。条件の良いローンを選ぶには、複数の金融機関を比較できる環境があることも重要です。提携している金融機関が多い不動産デベロッパーであれば、ご自身の属性や投資方針に合ったローンを提案してもらいやすくなります。不動産投資を始める際は、物件の収益性だけではなく、不動産会社が提携している金融機関やローン選びのサポート体制も確認しておきましょう。 金利上昇の仕組みを理解し、金融機関の選択肢が多い不動産会社を選びましょう 金利には変動金利と固定金利があり、わずかな金利差でも総支払額に大きな差が出ることがあります。不動産投資ではローンを活用して物件を購入するケースが多いため、金利の仕組みや返済額への影響を理解した上で、無理のない資金計画を立てることが大切です。 金利は金融政策や景気・雇用の動き、海外情勢など複数の要因によって変動します。金利上昇局面では、日本銀行の金融政策決定会合や総裁会見の内容、物価・賃金の動向などを確認し、今後の金利動向を注視しておきましょう。 また金利上昇を想定した返済シミュレーションを行い、家賃相場や収支を小まめに確認することも大切です。必要に応じて、借り換えや繰り上げ返済、売却なども選択肢に入れることで、リスクを抑えながら運用を続けやすくなります。 これから不動産投資を始める方は、金利動向を理解した上で、最初から条件の良いローンを選ぶことが重要です。エスリード株式会社は大手金融機関と提携しており、ご希望や状況に応じた不動産投資ローンの提案が可能です。物件選定だけではなく、資金計画や融資条件の相談にも対応しているので、金利上昇局面での不動産投資に悩んでいる方は、ぜひエスリードへご相談ください。 不動産投資の基礎知識 2026.06.15 不動産投資をしているサラリーマンは確定申告するべき? 申告の流れや必要書類、節税のポイントを解説 不動産投資を始めたビジネスパーソンの中には、「確定申告をする必要があるのか」「収益が赤字でも申告しなければならないのか」と悩んでいる方もいるでしょう。 不動産所得がある場合、給与以外の所得が年間20万円以下であれば所得税の確定申告が不要になるケースもあります。しかし、住民税には同様の申告免除制度がないため、申告漏れを防ぐ意味でも、基本的には確定申告を行うものと考えておくことが大切です。 確定申告を正しく行えば、不動産所得の赤字を給与所得と損益通算できたり、青色申告特別控除を受けられたり、税金の還付を受けられたりする可能性があります。一方で、必要な申告を怠ったり誤った内容で申告したりすると、無申告加算税や延滞税などのペナルティを受け、かえって収入が減ってしまう恐れもあるのです。 本記事では、不動産投資で確定申告が必要になる理由やしなかった場合のペナルティ、申告の流れ、経費計上できる費用を解説します。確定申告を正しく行い、税負担を適正に抑えながら資産形成を進めたい方は、ぜひ参考にしてください。 ※本記事の内容は、2026年6月時点の情報です suggest 所得税の確定申告は不要なケースがあるものの、住民税の申告は必ず行う必要があるため、確定申告はするべきものと認識しておくのが望ましい 不動産所得が赤字になった場合、確定申告を行うことで給与所得などと損益通算でき、税負担を軽減できる可能性がある 確定申告をしなかった場合や申告内容に誤りがあった場合は、無申告加算税や延滞税などのペナルティを受ける恐れがある 青色申告・白色申告の違いや経費計上できる費用を理解し、必要書類をそろえて正しく申告することが大切 サラリーマン大家は確定申告をするべき? 会社員として働きながら副業で不動産投資を行う人を「サラリーマン大家」と呼びます。会社員の場合、勤務先の年末調整で税金の手続きが完了するケースが多いため、確定申告になじみがない方もいるでしょう。 確定申告とは1年間の所得金額や税額を計算し、税務署へ申告する手続きのことです。不動産投資で家賃収入を得ている場合は、収入から必要経費を差し引いた不動産所得を計算し、確定申告を行います。 会社員の場合、給与所得があり、給与以外の所得金額の合計が年間20万円を超えなければ、原則として所得税の確定申告は不要です。ここでいう所得とは、収入そのものではなく、収入から必要経費を差し引いた金額を指します。例えば、1カ月当たりの家賃収入が7万円、管理委託費が7,000円の場合、単純計算では6.3万円が所得の目安になります。 ただし、住民税には同様の申告免除の制度がありません。そのため不動産所得がある場合は、金額が20万円以下でも住民税の申告が必要になることがあります。実務上は、所得税の確定申告を行うことで住民税の申告も兼ねられるため、申告漏れを防ぐためにも、確定申告は必ず行うものと理解しておきましょう。 また不動産所得が赤字になり、給与所得など他の所得と損益通算をしたい場合も、確定申告が必要です。 確定申告をするメリット「損益通算」とは? 損益通算とは一定の所得で生じた赤字を、他の所得の黒字から差し引く仕組みのことです。不動産所得が帳簿上の赤字になった場合、給与所得など他の所得と損益通算できるケースがあります。損益通算によって不動産所得の赤字を給与所得から差し引ければ、所得税や住民税の課税対象となる所得金額が少なくなります。その結果、所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があるのです。 損益通算の対象となる主な所得には、不動産所得の他、事業所得、譲渡所得、山林所得があります。事業所得とは、各種事業を営むことによる所得です。譲渡所得は、資産を売却した際に得られる所得を指します。山林所得は、山林を伐採して譲渡したり、立木のまま譲渡したりすることによる所得です。 ただし、不動産所得の赤字であっても、全てが損益通算の対象になるわけではありません。例えば、別荘など主として趣味・娯楽・保養などの目的で所有する不動産の貸し付けによる損失や、土地などを取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額は、損益通算の対象外とされています。 また国外中古建物の貸し付けによって生じた不動産所得の損失についても、一定の制限があります。不動産投資を行う場合は、赤字であれば必ず節税できると考えるのではなく、対象外となる損失や税務上の制限も確認しておくことが大切です。判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。 節税効果の高いサラリーマンの特徴 不動産投資による節税効果は、全てのビジネスパーソンに同じように生じるわけではありません。特に課税所得が高く、所得税率が高い方ほど、不動産所得の赤字を損益通算できた場合の税負担の軽減効果は大きくなりやすいです。 例えば、課税所得が900万円の方に、不動産所得の赤字が100万円発生した場合を考えてみましょう。損益通算前の課税所得が900万円であればかかる所得税率の区分は33%ですが、100万円の赤字を差し引いて課税所得が800万円になると、所得税率は23%の区分になります(※1)。課税対象となる所得金額が下がることで、所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があるのです。 課税される所得金額別に、不動産所得で100万円の赤字が出て損益通算した場合の所得税軽減効果を見てみましょう。 table2 課税される所得金額(1,000円未満切り捨て) 所得税率 控除額 100万円の赤字を損益通算した場合の軽減効果 1,000円〜194万9,000円 5% 0円 約5万円 195万円〜329万9,000円 10% 9万7,500円 約10万円 330万円〜694万9,000円 20% 42万7,500円 約20万円 695万円〜899万9,000円 23% 63万6,000円 約23万円 900万円〜1,799万9,000円 33% 153万6,000円 約33万円 1,800万円〜3,999万9,000円 40% 279万6,000円 約40万円 4,000万円以上 45% 479万6,000円 約45万円 ※実際の税額は各種控除や復興特別所得税なども踏まえて計算されます ※本表の所得税軽減効果はあくまでも概算です。実際の軽減効果は個人の状況によって異なります また不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得に対して所得税や住民税がかかります。すでに不動産投資を始めており5年以上物件を保有している方は、売却時にも税負担を抑えられる可能性があるでしょう。 譲渡所得は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下であれば短期譲渡所得、5年を超えていれば長期譲渡所得に区分されます。課税譲渡所得金額が800万円の場合、短期譲渡所得と長期譲渡所得では、納付額の目安に以下のような差が出ます(※2)。 table2 区分 税率 納税額 短期譲渡所得 所得税:30%住民税:9% 312万円 長期譲渡所得 所得税:15%住民税:5% 160万円 ※令和19年までは、上記に加えて復興特別所得税も加算されます このように課税所得が高い方や長期保有を前提にできる方は、節税効果を得られる可能性が高いです。ただし、実際の税額は売却価格や取得費、譲渡費用などによって変わります。不動産投資の節税効果を考える際は、想定される費用を基に綿密なシミュレーションをしておくことが大切です。 ※1参考:国税庁.「No.2260 所得税の税率」.(参照:2026-05-22). ※2参考:国税庁.「土地や建物を売ったとき」.(参照:2026-05-22). 確定申告をしないとペナルティを受ける恐れがある 不動産所得があるにもかかわらず「年間の収益が少ないから」「会社員だから確定申告は不要だと思っていた」といった理由で申告をしないと、税務署から指摘を受ける場合があります。資産形成をするはずが、本来納める税金に加えて無申告加算税や延滞税などが課されると、かえって収入が減ってしまうこともあります。 こうした事態を避けるためにも、確定申告をしなかった場合や申告内容に誤りがあった場合に、どのようなペナルティを受ける可能性があるのかを理解しておきましょう。主なペナルティは以下の通りです。 無申告加算税 過少申告加算税 延滞税 重加算税 それぞれの概要を確認しておきましょう。 無申告加算税 無申告加算税とは、確定申告が必要であるにもかかわらず、期限内に申告をしなかった場合に課される税金です。 税務署から指摘を受けた後に期限後申告をした場合、原則として納付すべき税額のうち50万円までは10%、50万円を超え300万円以下の部分は15%、300万円を超える部分は25%の無申告加算税が課されます。 また税務署の調査を受けた後に期限後申告をした場合や、税務署から申告納税額の決定を受けた場合は、納付すべき税額のうち50万円までは15%、50万円を超え300万円以下の部分は20%、300万円を超える部分は30%と、より高い税率が適用されます。 ただし、救済措置により余計な税負担を軽減することも可能です。税務署から調査通知を受ける前に自主的に期限後申告をした場合は、無申告加算税の割合が5%に軽減される場合があります。さらに、法定申告期限から1カ月以内に自主的に申告するなど一定の要件を満たせば、無申告加算税がかからないケースもあります。 ※参考:国税庁.「No.2024 確定申告を忘れたとき」.(参照:2026-05-22). 過少申告加算税 過少申告加算税とは、期限内に確定申告をしたものの、申告した税額が本来納めるべき税額より少なかった場合や、還付金を多く受け取り過ぎた場合などに課される税金です。経費を多く計上しすぎていた場合や、家賃収入の一部を申告し忘れていた場合などが該当します。 税務署からの調査の事前通知を受けた後、調査による更正を予知する前に修正申告をした場合は、新たに納める税金に対して5%の過少申告加算税が課されます。ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額または50万円のいずれか多い金額を超える場合、その超える部分については10%が課されるため、注意しましょう。 一方で、税務署の調査を受けた後に修正申告をした場合や、税務署から申告納税額の更正を受けた場合は、新たに納める税金に対して10%の過少申告加算税が課されます。ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額または50万円のいずれか多い金額を超える場合、その超える部分については15%が課されます。 なお、過少申告加算税にも救済措置があり、税負担の軽減が可能です。税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告を行った場合は、過少申告加算税が課されないケースもあります。申告内容に誤りがあると気付いた場合は、早めに修正申告を行うことが大切です。 ※参考:国税庁.「No.2026 確定申告を間違えたとき」.(参照:2026-05-22). 延滞税 延滞税とは、納付すべき税金を期限までに納めなかった場合に、遅れた日数に応じて課される税金です。期限後申告や修正申告によって追加で納める税金が発生した場合も、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて延滞税がかかります。 延滞税の割合は、納期限からの経過期間や対象となる年によって異なります。例えば2026年の場合、納期限の翌日から2カ月を経過する日までは年2.8%、2カ月を経過した日以後は年9.1%です。税金の納付が遅れるほど負担が増えるため、申告だけではなく納税も期限内に行うことが重要です。 また延滞税の割合は年によって変わるため、実際に申告・納付する際は国税庁の最新情報を確認しましょう。 ※参考:国税庁.「No.9205 延滞税について」.(参照:2026-05-22). 重加算税 重加算税とは所得を意図的に隠したり、帳簿や書類を改ざんしたりするなど、仮装・隠蔽があったと判断された場合に課される重いペナルティです。 過少申告に仮装・隠蔽があった場合は、過少申告加算税に代えて35%の重加算税が課されます。また無申告に仮装・隠蔽があった場合は、無申告加算税に代えて40%の重加算税が課されます。 重加算税は、単なる申告漏れや計算ミスよりも悪質性が高いと判断された場合に課されるものです。家賃収入や経費を正しく記録し、領収書や契約書などの資料を保管した上で、適切に確定申告を行いましょう。 ※参考:財務省.「加算税制度の概要①(基本情報)」.(参照:2026-05-22). 不動産投資の確定申告は青色と白色のどちらで出すべき? 確定申告をする際、節税効果を重視するなら青色申告の方が有利です。青色申告を選ぶと、一定の要件を満たすことで青色申告特別控除を受けられたり、損失を翌年以降に繰り越せたりするためです。課税所得が高く節税メリットを受けやすい方や所有物件数が多い方、今後物件を増やす予定がある方は、青色申告の方が向いているでしょう。 一方で、青色申告には複式簿記による帳簿管理が必要になるため、白色申告と比べて確定申告の作業量が多くなります。個人で申告を行う場合、会計ソフトの操作や帳簿作成などを負担に感じるケースも少なくありません。また税理士に依頼する場合も、白色申告より報酬が2万〜5万円程度高くなる傾向にあり、青色申告に切り替えたことでかえってコスト負担が増える可能性もあります。 そのため、物件数が1〜2件程度で不動産所得もそこまで大きくない方や、まずは申告負担を抑えたい方は、白色申告の方が向いているでしょう。青色申告と白色申告の主な違いをまとめると、以下の通りです。 【青色申告と白色申告の主な違い】 table2 申告方法 主な特徴 事前申請 控除額 青色申告 青色申告特別控除や赤字の繰越控除などを活用できる可能性がある一方、帳簿管理や申告作業の負担が大きい 確定申告をする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に届け出ること 事業的規模で要件を満たす場合:最大65万円それ以外:最大10万円 白色申告 青色申告より手続きが比較的シンプルだが、税務上のメリットは限定的 事前申請は不要 なし ※事業的規模かどうかは、貸家であればおおむね5棟以上、アパートやマンションであればおおむね10室以上という「5棟10室基準」が目安として用いられる 青色申告と白色申告のどちらが適しているかは、所有物件数や不動産所得の金額、会計処理にかけられる時間、税理士費用を許容できるかどうかによって判断することが大切です。 ※参考:国税庁.「はじめてみませんか?青色申告」.(参照:2026-05-22). 不動産投資の確定申告を行う流れ 不動産投資の確定申告は、必要書類をそろえた上で、不動産所得を計算し、確定申告書を作成・提出する流れで進めます。青色申告か白色申告かによって作成する書類や帳簿管理の方法が異なるため、事前にどちらで申告するのかを確認しておきましょう。 経費の判断や損益通算、青色申告特別控除の要件などに不安がある場合は、税理士などの専門家に相談し、不備のないように進めることが大切です。 必要な書類をそろえる まずは、不動産所得の計算や確定申告書の作成に必要な書類をそろえます。不動産投資では家賃収入だけではなく、管理費や修繕費、ローン利息、固定資産税などの書類も用意する必要があります。 主な必要書類は以下の通りです。 table2 種類 主な書類(入手先) 収入・給与に関する書類 不動産売買契約書、売渡清算書(不動産会社) ローンの返済予定表(ローンを借りている金融機関) 固定資産税の納税通知書(役所) ※東京23区の場合は東京都主税局 火災保険・地震保険の控除証明書(保険会社) 修繕費の請求書や領収書 など 申告手続きに必要なもの マイナンバーカード 確定申告書、青色申告決算書または収支内訳書(国税庁のWebサイト)など 書類が不足していると、収入や経費を正しく計算できない可能性があるため、早めに準備しておきましょう。 確定申告書を作成する 必要書類がそろったら、年間の収入や経費を集計し、不動産所得を計算します。青色申告の場合は「青色申告決算書」、白色申告の場合は「収支内訳書」を作成しましょう。 その後、給与所得や不動産所得などを合算し、所得控除などを差し引いた上で、納める税額または還付される金額を計算します。最終的に、確定申告書の第一表・第二表などに必要事項を記入して申告書を完成させます。 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に沿って金額を入力することで、確定申告書を作成することも可能です。e-Taxによる電子申告にも対応しているため、自宅から申告したい方にも便利です。 また市販のクラウド会計ソフトを使えば、家賃収入や経費を日頃から記録しやすくなります。帳簿作成に不安がある方や、青色申告を検討している方は、会計ソフトの活用も検討しましょう。 税務署に提出する 確定申告書が完成したら、管轄の税務署へ提出します。所得税および復興特別所得税の確定申告期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。ただし、期限日が土日祝に当たる場合は翌営業日になります。 提出方法は、主に以下の3つです。 税務署の窓口へ持参する 郵送で提出する e-Taxで電子申告する 青色申告で65万円の青色申告特別控除を受けたい場合は、55万円控除の要件に加え、e-Taxによる電子申告または電子帳簿の保存が必要です。 税金の納付もしくは還付を受ける 確定申告によって納税額が決まった場合は、期限までに税金を納付します。納付方法には、現金納付や振替納税、ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマートフォンアプリ納付などがあります。クレジットカード納付の場合、決済手数料がかかる場合があるため、事前に確認しておきましょう。 一方、不動産所得の赤字を損益通算した場合など、税金の還付を受けられるケースもあります。還付金は、申告書に記載した預貯金口座へ振り込まれる他、ゆうちょ銀行または郵便局の窓口で受け取る方法もあります。 還付までの期間は、書面提出の場合はおおむね1カ月から1カ月半程度、e-Taxで提出した場合は3週間程度が目安です。 不動産投資で経費計上できる費用 不動産投資では、賃貸経営を行う上で必要な費用を経費として計上できます。経費を正しく計上できれば、不動産所得を適切に計算でき、結果として税負担の軽減につながる可能性があります。 一方で経費として認められるものと認められないものを理解していないと、確定申告時に必要な書類を集められなかったり、誤った内容で申告してしまったりする恐れがあるので注意が必要です。確定申告をスムーズに進めるためにも、どのような費用が経費になるのかを確認しておきましょう。 経費として計上できる費用 不動産投資で経費として計上できるのは、以下のような賃貸経営に直接関係する費用です。 table2 費用項目 主な内容 租税公課 固定資産税、都市計画税、物件取得時の不動産取得税、登録免許税、印紙税など 損害保険料 火災保険料、地震保険料など複数年分を一括払いした場合は、その年に対応する分を按分して計上する 管理・運営に関する費用 管理委託料、修繕費、管理組合に支払う管理費、一定の要件を満たす修繕積立金、入居者募集時の広告宣伝費や仲介手数料、立ち退き料など ローンの利息 不動産投資ローンの返済額のうち、利息部分のみ元本返済分は経費にできない 減価償却費 建物や設備の購入費用を、法律で定められた耐用年数に応じて毎年分割して計上する費用 その他の雑費 賃貸経営に直接必要な通信費、物件調査にかかる旅費交通費、税理士報酬、不動産関連の書籍代・セミナー代など 経費として計上できる項目の中で注意が必要なのが「修繕積立金」です。当該年度の経費に算入できるのは、その年において債務の確定している支払いのみのため、将来の修繕のための積立金は原則として経費計上できません。しかし、以下の要件を満たせば特例として経費計上が可能です。 管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負っていること 修繕積立金は、オーナーへの返還義務がないこと 修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと 修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること 多くのマンションは要件を満たしている可能性が高いですが、初年度の確定申告前に確認しておきましょう。 また、ローン返済額のうち経費にできるのは利息部分のみです。返済予定表などで元本部分と利息部分を分けて確認し、誤って元本返済分まで経費計上しないよう注意しましょう。なお不動産所得が赤字になった場合、借入金の利息を全額そのまま他の所得と損益通算できるとは限りません。物件購入時の借入金のうち、土地の取得に対応する利息部分は、損益通算の対象外になる場合があるため注意してください。 経費として計上できない費用 一方、不動産投資に関連する支出であっても、全てが経費として認められるわけではありません。賃貸経営に直接関係しない支出や、個人的な支出は経費として計上できないため注意が必要です。 table2 費用項目 経費にできない理由 ローンの元本返済分 借入金は収入として課税されていないため、その返済に当たる元本部分も経費にはならない 私生活にかかる費用 自宅の家賃や住宅ローン、個人の生活費、家族旅行、事業に関係のないスーツ代やジム会費などは、賃貸経営と直接関係しないため経費にできない 個人的な税金や罰金 所得税や住民税、駐車違反などの罰金・過料は、賃貸経営に必要な支出ではないため経費にできない 土地の購入費用 土地は建物のように経年劣化する資産ではないため、減価償却費として経費計上できない 上記のように適正範囲を超えた経費計上は、認められません。税務署から指摘を受けると、修正申告や追加納税が必要になり、場合によっては過少申告加算税や延滞税が課される恐れもあります。 不動産投資の経費を計上する際は「賃貸経営に直接必要な支出かどうか」「私的な支出と明確に区別できるかどうか」を基準に判断しましょう。 不動産投資の節税効果を高めるポイント 不動産投資の確定申告では、収入や経費を正しく整理することで、税負担を適正に抑えられる可能性があります。特に青色申告の控除や減価償却費、経費計上の考え方を理解しておくことは、節税効果を高める上で重要です。 ここでは、不動産投資の確定申告を行う際に押さえておきたい節税のポイントを解説します。 青色申告の控除を適用する 不動産投資の節税効果を高めたい場合は、青色申告の活用を検討しましょう。青色申告では、一定の要件を満たすことで青色申告特別控除を受けられるため、白色申告よりも課税所得を抑えやすくなります。 一方で、青色申告は白色申告よりも帳簿管理や申告作業の負担が増えます。節税効果だけで判断するのではなく、会計処理にかけられる時間や税理士費用なども踏まえて、無理なく続けられる方法を選ぶことが大切です。 また控除額を最大化するには、不動産貸し付けが事業的規模であると認められることが前提になります。事業的規模に該当するほど運用規模が大きくなる場合は、勤務先の副業規定に抵触する可能性があるため、事前に就業規則などを確認しておくことが大切です。 副業として不動産投資を行う際の注意点などは、以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。 サラリーマンの不動産投資は副業になる? 問題視されるケースと始める際の注意点を解説 物件ごとに異なる減価償却期間に注意する 減価償却は、不動産投資における重要な節税手段の一つです。減価償却とは、建物や設備の取得費用を一度に経費計上するのではなく、法律で定められた耐用年数に応じて分割して経費化する仕組みです。 住宅用の不動産の減価償却期間は、物件の構造や用途によって以下のように異なります(※)。 table2 構造 法定耐用年数 木造・合成樹脂造 22年 金属造・鉄骨造 19~34年※骨格材の厚みによって異なる 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 47年 耐用年数が長い物件は、毎年計上できる減価償却費が少なくなりやすい一方で、長期間にわたって安定的に経費計上できます。反対に耐用年数が短い物件は、短期間で減価償却費を多く計上できるのが特長です。 減価償却費は、その年に実際の現金支出がなくても帳簿上の経費として計上できるため、不動産所得の計算に大きく影響します。物件購入前に、建物の構造や築年数、設備の耐用年数を確認し、どの程度の減価償却費を計上できるのかを把握しておきましょう。 ※参考:国税庁.「主な減価償却資産の耐用年数表」.(参照:2026-05-22). 経費を正しく計上する 税負担を適正に抑えるためには、経費として認められる費用を漏れなく計上することが大切です。繰り返しになりますが、不動産投資では管理委託料や修繕費、固定資産税、火災保険料、ローン利息、税理士報酬など、賃貸経営に直接関係する費用を経費として計上できる場合があります。 経費を正しく計上するには、日頃から領収書や請求書、明細書などを保管し、私的な支出と不動産投資に関する支出を明確に分けて記帳する体制を整えておくことが重要です。青色申告をしている個人事業主の場合、帳簿や決算関係書類などは原則として7年間、その他の取引関係書類は5年間の保存が必要とされています。なお、適格請求書発行事業者の場合は、7年の保存要件が適用されるため注意してください。 また電子メールで受け取った請求書やWeb上でダウンロードした領収書など、電子取引に該当する書類は、電子帳簿保存法のルールに沿って保存する必要があります。紙で受け取った書類と電子データで受け取った書類では保存方法が異なるため、確定申告前に慌てないよう、日頃から整理しておきましょう。 不動産投資の確定申告を正しく行い、節税効果を高めながら資産形成を行いましょう 不動産投資を始めたビジネスパーソンは、不動産所得がある場合、原則確定申告を行う必要があります。給与所得者の場合、給与以外の所得が年間20万円以下であれば所得税の確定申告が不要になるケースもありますが、住民税には同様の免除制度がありません。そのため、申告漏れを防ぐ意味でも、必ず確定申告を行いましょう。 確定申告は正しく行えば不動産所得の赤字を給与所得と損益通算できたり、青色申告特別控除を受けられたり、税金の還付を受けられたりする可能性があります。一方で、必要な申告を怠った場合や誤った内容で申告した場合は、無申告加算税や延滞税などのペナルティを受ける恐れがあります。資産形成のために始めた不動産投資で、かえって収入を減らさないためにも、家賃収入や経費を整理し、計画的に申告準備を進めることが大切です。 初めての確定申告で不安がある場合は、会計ソフトを活用したり、税理士などの専門家に相談したりするのも一つの方法です。不動産投資の確定申告を正しく行い、節税効果を高めながら、安定した資産形成を目指しましょう。 これから不動産投資を始めようと考えている方や、投資規模を拡大しようと考えている方には、東証プライム市場上場の不動産デベロッパーであるエスリード株式会社がおすすめです。エスリードでは、関西エリアを中心に新築ワンルームマンションを展開しており、物件選定から資金計画、管理、運用、売却まで一貫してサポートしています。不動産業界30年超で培ったノウハウを基に、不動産投資に関する疑問に分かりやすくお答えします。関西圏で不動産投資をお考えの方は、お気軽にエスリードへご相談ください。 不動産投資の基礎知識 2026.06.15 サラリーマンの不動産投資は副業になる? 問題視されるケースと始める際の注意点を解説 副業とは、一般的に2つ以上の仕事を掛け持ちすることを指します。近年は、人生100年時代に向けた資産形成や老後資金への備えを目的に、本業以外の収入源を持ちたいと考えるビジネスパーソンも増えています。一方で「会社で副業が禁止されている」「勤務先に知られて問題にならないか心配」といった理由から、副業に関心はあってもなかなか踏み出せない方もいるでしょう。 不動産投資は一般的な労働型の副業とは異なり、資産運用として見なされる傾向にあるため、副業禁止の企業であっても始められる可能性があります。ただし、運用規模や勤務先の就業規則によっては、問題視されるケースもあるため注意が必要です。 本記事では、不動産投資が副業に当たらないといわれる理由や、始める前に確認すべき注意点を解説します。これらをあらかじめ理解した上で、副業の手段や将来の資産形成方法として不動産投資を選べるか確認していきましょう。 suggest2 不動産投資は資産運用と見なされやすい、情報漏えいのリスクや本業への支障が比較的少ない、相続などやむを得ないケースもある、個人の自由時間を一律に禁止できないといった理由から、副業と見なされにくい 5棟10室以上の運用規模になると、副業や事業として見られやすくなる 運用規模や本業への影響、本業の業種によっては問題視されるケースもあるため、不明点がある場合は必ず勤め先に確認するのが望ましい 副業を容認している会社は約6割あるものの、正社員の副業率は1割未満 近年は、ビジネスパーソンの副業・兼業を後押しする動きが広がっています。厚生労働省は「働き方改革実行計画」を踏まえ、副業・兼業に取り組みやすい環境整備を進めており、企業側にも副業を認める動きが少しずつ広がっているのです。 パーソル総合研究所の調査によると、企業が社員の副業を認める割合である「副業容認率」は、2025年時点で64.3%でした(※1)。2023年時の調査から3.4ポイント上昇しており、副業を認める会社は増加傾向にあることが分かります。 一方で、実際に副業を行っている人の割合はそこまで多くありません。厚生労働省の調査では、副業をしている人の割合は全体で9.7%、そのうち本業の就業形態が正社員の人は5.9%でした(※2)。 このように副業をしやすい環境は整いつつあるものの、実際に副業へ踏み出しているビジネスパーソンは限られているのが現状です。本業との両立や勤務先のルール、時間の確保などに不安があり、副業に関心はあっても始められていない方も多いでしょう。一方で、副業をうまく仕組み化できれば、本業以外の収入源を確保でき、将来の資産形成における第二の柱となる可能性があります。副業に興味がある方は、本記事で紹介する確認事項や注意点をしっかりと理解した上で、無理なく続けられる方法を選ぶことが重要です。 ※1参考:パーソル総合研究所.「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」.(2025-10-28). ※2参考:厚生労働省.「副業・兼業に係る実態把握の内容等について」.(参照:2026-05-20). 不動産投資がサラリーマンの副業に適している理由 副業にはさまざまな種類がありますが、不動産投資はビジネスパーソンと相性が良い方法の一つです。金融機関は融資審査の際に、年収や勤務先、勤続年数といった属性を重視します。安定した給与収入があるビジネスパーソンは継続的な返済が見込まれやすいため、融資面で有利に働く可能性があります。結果として不動産投資ローンを活用して、自己資金だけでは購入が難しい物件にも投資できるでしょう。 また不動産投資では、入居者がいれば毎月家賃収入を得られます。株式や投資信託のように日々価格が変動する金融商品とは異なり、賃貸需要のあるエリアや物件を選べば、比較的安定した収入源を持ちやすい点が特長です。将来の資産形成や老後資金の準備を目的に、副収入を得たい方にも適しています。 本業への影響を抑えやすい点も、不動産投資がビジネスパーソンに適している理由です。物件管理や入居者対応、家賃回収などの業務は管理会社へ委託できるため、平日の日中に本業がある方でも運用しやすい仕組みを作れます。自分で作業時間を確保する労働型の副業と比べると、運用を仕組み化しやすい点は大きな魅力です。 さらに不動産は現物資産であるため、インフレ対策にもなり得る点が注目されています。預貯金だけで資産を持つ場合、物価上昇によって資産価値の目減りが起こる可能性があります。一方、不動産は物価の上昇に伴って不動産価格や賃料が上がるケースもあるため、インフレに備えやすい資産といえるでしょう。ただし、不動産投資には空室や修繕といったリスクもあるため、メリットだけで判断せず、収支計画や物件選びを慎重に行うことが大切です。 不動産投資が副業に当たらないといわれる5つの理由 老後の資産形成や収入の柱を増やす手段として、不動産投資を検討するビジネスパーソンは少なくありません。一方で、会社の就業規則で副業が禁止されている場合「不動産投資を始めると就業規則に抵触するのではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。 結論からいうと、副業禁止の企業であっても不動産投資自体は認められる可能性があります。以下の代表的な5つの理由を解説します。 資産運用と見なされるため 情報漏えいのリスクが少ないため 本業に支障が出にくいため やむを得ないケースがあるため 労働時間以外の使い道は個人の自由であるため 資産運用と見なされるため 不動産投資が副業に当たらないといわれる理由の一つは、労働ではなく資産運用と見なされる傾向にあるためです。不動産投資は、所有する物件を貸し出して家賃収入を得る仕組みであり、株式投資や投資信託と同じように、資産を活用して収益を得る方法です。 副業は一般的に本業とは別に労働を行い、その対価として収入を得る働き方を指します。一方、不動産投資は物件を購入し、運用によって収益を得るものであり、日々の労働時間に応じて報酬が発生する副業とは性質が異なります。 そのため副業を禁止している会社であっても、資産運用としての不動産投資であれば、規定に抵触しない可能性があります。ただし、所有物件数が多い場合や、継続的・事業的な規模で運用している場合は、会社によって副業や事業と判断されることもあるため注意しましょう。 情報漏えいのリスクが少ないため 企業が副業を制限する理由の一つに、情報漏えいのリスクがあります。たとえ本人に悪意がなかったとしても、本業で得た知識やノウハウを副業先で活用してしまったり、業務上知り得た内容をうっかり話してしまったりするケースがあるためです。また私物のパソコンやクラウドサービス、チャットツールなどを使う場合、ウイルス感染や誤操作、共有設定のミスなどによって、本業に関する情報が外部に漏れてしまう恐れもあります。顧客情報や営業情報、社内の機密情報などが外部に流出すると、企業の信用低下や損害につながる可能性があるため、こういったリスクを極力減らすために、副業自体を禁止する企業があるのです。 その点不動産投資は収益用物件を購入し、家賃収入を得る資産運用として行うのが一般的です。勤務先の機密情報を投資活動に使用する場面は、通常想定されません。物件の購入や賃貸管理、入居者対応などは不動産会社や管理会社を通じて進められることも多いため、一般的な副業と比べると情報漏えいのリスクは低いと考えられます。 ただし、職種によっては注意が必要です。例えば金融機関に勤めている方や、顧客の資産情報・融資情報などを扱う職種では、情報管理や利益相反の観点から、不動産投資を含む副業・投資活動に制限が設けられている場合があります。勤務先の業務内容によって判断が異なるため、就業規則や社内規定を事前に確認しておきましょう。 本業に支障が出にくいため 不動産投資は、本業に支障が出にくい点も特長です。入居者募集や家賃回収、設備トラブルへの対応、退去時の手続きなどは管理会社に任せられるため、自主管理を選ばなければオーナーが日々の業務に多くの時間を割く必要はありません。 労働型の副業では、勤務後や休日に作業時間を確保する必要があり、体力的な負担や本業への影響が出ることもあります。一方、不動産投資は運用の仕組みを整えれば、日中に働くビジネスパーソンでも比較的取り組みやすいでしょう。 企業側が副業を懸念する理由には、長時間労働による疲労や本業のパフォーマンス低下もあります。不動産投資は管理を委託することで本業への影響を抑えやすいため、会社からも容認されやすい傾向にあると考えられます。 やむを得ないケースがあるため 不動産の運用は、本人が積極的に投資を始めるケースだけではありません。転勤によって住んでいた家を賃貸に出す場合や、相続・贈与によって収益物件を取得する場合など、本人の意思とは別に不動産を所有・運用することになるケースもあります。 こうした事情があるにもかかわらず、副業禁止を理由に一律で不動産の賃貸運用を認めないと、物件を売却せざるを得なくなる可能性があります。そのため副業禁止の規定がある会社であっても、転勤や相続などのやむを得ない事情については考慮される傾向にあるのでしょう。 ただし、やむを得ない理由で始めた不動産運用であっても、物件数を増やしたり、事業的な規模で運用したりすると、会社の判断が変わることもあります。後々のトラブルを避けるためにも、必要に応じて勤務先へ申告・相談しておくのが望ましいです。 労働時間以外の使い道は個人の自由であるため 不動産投資に限らず、就業時間外の過ごし方は基本的に個人の自由です。日本国憲法では職業選択の自由が保障されており、企業が合理的な理由なく、従業員の副業や資産運用を一律に禁止することは難しいと考えられています。 もちろん企業は情報漏えいや競業、本業への支障を防ぐために、一定の範囲で副業を制限することもあります。しかし就業時間外に行う活動であり、会社の利益を害する恐れが少ない場合は、認められる傾向にあるのです。 特に不動産投資は、管理会社に運用を委託すれば就業時間中に作業を行う必要が少なく、勤務先の事業と競合するケースも多くありません。会社にとって大きなリスクになりにくい点から、副業として問題視されにくいのでしょう。 不動産投資が副業として問題視される3つのケース 原則として不動産投資は資産運用と見なされやすく、一般的な副業とは性質が異なります。しかし、運営の仕方や規模、職業によっては、勤務先から副業として問題視される可能性があります。 不動産投資を始める前に、どのようなケースで問題になりやすいのかを押さえておきましょう。ここでは代表的な3つのケースをご紹介します。 本業に悪影響が出る運営をしている場合 5棟10室を超える「事業的規模」で運営している場合 公務員は法律で副業が制限されている 本業に悪影響が出る運営をしている場合 不動産投資が副業として問題視されるケースの一つが、本業に悪影響が出ている場合です。例えば自主管理に時間がかかりすぎている、入居者や業者との連絡対応に追われて勤務時間中の業務に集中できない、トラブル対応によって体調を崩しているといった状況が挙げられます。 先述した通り、企業が副業を制限する背景には、長時間労働による疲労や、本業のパフォーマンス低下を防ぐ目的があります。そのため不動産投資そのものは認められていても、運用方法によって本業に支障が出ていると判断されれば、勤務先から改善を求められる可能性があります。 5棟10室を超える「事業的規模」で運営している場合 不動産投資の規模が大きくなると、勤務先から副業や事業として見られやすくなる可能性があります。一般的に戸建てなどの貸家であれば5棟以上、アパートやマンションであれば10室以上を貸し付けている、いわゆる「5棟10室基準」が事業的規模と判断される目安になります。 不動産投資によって得た収益は、原則として「不動産所得」に分類されます。事業的規模に該当すると、青色申告の控除額が増えるなど一定の節税効果が見込めるため、規模を拡大したいと考える人もいるかもしれません。しかし運営規模が大きいほど、本業との兼ね合いや業務負担を懸念されやすくなるでしょう。不動産投資のために法人を設立する場合も同様に、勤務先によっては副業規定に抵触すると判断される可能性があります。 公務員は法律で副業が制限されている 公務員の場合は、民間企業に勤めるビジネスパーソン以上に注意が必要です。国家公務員法や地方公務員法により、営利企業への従事や報酬を得る副業は原則として制限されているためです。そのため不動産投資を行う場合も、法律や人事院規則などの基準を確認しなければなりません。 ただし、公務員であっても、一定の範囲内であれば不動産投資が認められる場合もあります。目安としては、5棟10室基準に満たない事業規模であることや、年間の家賃収入の合計が1,000万円未満かつ、賃貸物件の床面積の合計が600㎡未満であることなどが挙げられます。また管理業務を自ら行わず、管理会社へ委託していることも重要なポイントです。 一方でこの基準を超える場合や、勤務先との間に利害関係がある場合は、許可が必要になる可能性があります。教職員や警察官、消防官などは独自の規定があり、そちらの上限が優先されることもあるかもしれません。原則として不動産投資を行うこと自体は可能ですが、運用規模や事前申請の有無については、事前にルールを確認しておきましょう。 副業禁止の企業で不動産投資を始める際の注意点 不動産投資は、原則として一般的な副業ではなく資産運用と見なされやすいものの、副業禁止の規定がある場合は、会社のルールに抵触しないよう注意を払う必要があります。 ここでは、副業禁止の企業で不動産投資を始めようとしているビジネスパーソンが把握しておくべき、3つの注意点を解説します。 就業規則を細かく確認する 必ず確定申告を行う 本業に支障が出ないよう配慮する 就業規則を細かく確認する 不動産投資を始める前に、まず勤務先の就業規則を確認しましょう。副業を禁止している企業であっても、株式投資や投資信託、不動産投資などの資産運用については、禁止の対象外としている場合があります。 一方で上場企業や金融機関、機密情報を扱う職種などでは、投資活動や兼業に関するルールが厳しく定められていることもあります。 就業規則を読んでも判断が難しい場合は、人事部門や総務部門に確認しておくのが望ましいです。事前に確認せずに始めてしまうと、後からトラブルになる恐れがあるため、曖昧なまま進めないようにしましょう。 必ず確定申告を行う 不動産投資で家賃収入を得た場合は、必ず確定申告が必要になります。ビジネスパーソンの多くは勤務先の年末調整で税務手続きが完了しますが、給与を1カ所から受けていて、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える場合は、原則として確定申告をしなければなりません。また住民税は所得の金額にかかわらず申告する必要があるため、不動産投資を始めたら必ず確定申告をしなければならないと理解しておきましょう。 確定申告を怠ると、税務署から指摘を受ける可能性があります。申告漏れがあった場合は、本来納めるべき税金に加えて、延滞税や加算税などのペナルティが課されることもあるため注意してください。 また不動産投資では、管理費や修繕費、減価償却費などを経費として計上できます。経費を計上した結果、不動産所得が赤字になった場合は、一定の条件の下で給与所得と損益通算できることもあるため、税負担を適切に抑えるためにも確定申告は必ず行いましょう。 本業に支障が出ないよう配慮する 副業禁止の企業で不動産投資を行う場合は、本業に支障が出ないよう配慮することも大切です。勤務先から本業への悪影響があると判断されると、就業規則違反として問題視される可能性があります。 本業への影響を抑えるためには、まず管理会社を利用しましょう。入居者対応や家賃回収、設備トラブルへの対応などを管理会社に委託できれば、自分で対応する時間を減らせます。ただし、管理委託の場合、運用に関する判断などはご自身で行う必要があるため、一定の業務が発生します。なるべく本業への支障が出ないようにしたい場合は、サブリースも有効な管理方法です。管理委託やサブリースは手数料がかかるため、収支計画にあらかじめ組み込んでおきましょう。 また投資初心者の場合は、比較的管理の手間がかかりにくい区分マンションから検討するのも一つの方法です。一棟アパートや戸建ては、修繕や設備管理、庭木の手入れなど、オーナーの判断が必要になる場面が多くなる傾向にあります。物件の収益性だけではなく、管理のしやすさも踏まえて選びましょう。 勤務時間中の情報収集や連絡対応にも注意が必要です。会社のパソコンで物件情報を調べたり、勤務時間中に不動産会社や金融機関と打ち合わせをしたりすると、本業に支障が出ていると見なされてしまいます。内見やローン相談などは、休日や有給休暇を活用して調整するのが望ましいでしょう。 さらに、無理のある借り入れや過度な物件管理によって心身の負担が大きくなると、本業のパフォーマンスにも影響しかねません。不動産投資は長期的に取り組むものだからこそ、余裕のある資金計画と運用体制を整えることが大切です。 副業に関する就業規程や税務対応を確認し、不動産投資で資産形成を始めましょう 政府の働き方改革の後押しもあり、副業や兼業に取り組みやすい環境整備が進められています。一方で、実際に副業を始めているビジネスパーソンはまだ限られており、本業との両立や会社の就業規則に不安を感じている方も少なくありません。 資産形成を目的に副業を検討しているビジネスパーソンにとって、不動産投資は有力な選択肢の一つです。不動産投資は労働型の副業とは異なり、資産運用として見なされる傾向にあります。管理会社に物件管理を委託すれば、本業への影響を抑えながら家賃収入を得る仕組みを作りやすい点もメリットです。 ただし、運用規模が大きい場合や、本業に支障が出ている場合、勤務先の就業規則で不動産投資が制限されている場合は、問題視される可能性があります。副業禁止の企業に勤めている方は、自己判断で始めるのではなく、就業規則や税務上の対応を確認した上で進めましょう。 エスリードは、関西エリアを中心に30年以上の実績を持つ不動産デベロッパーです。地域の賃貸需要や再開発などの情報を基に、投資目的に合った新築ワンルームマンションをご紹介しており、物件選定から運用、売却まで相談できます。副業に関する就業規則を確認し、不動産投資を始められる状況でしたら、資産形成の第一歩としてエスリードへご相談ください。